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社会不適合なまいむちゃんのそれっぽいブログ。
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 在り得ないだろ。何なんだよコイツは。

 これでも俺はこの森で一番強い成熟期だと思ってたんだぞ。俺を負かすのはオオクワモンさんぐらいなもんで、他のところのやつらなんか殆ど目じゃないと思ってきたんだ。なのになんだよ、なんでこんなやられてんだよ。何でも立ってんのもやっとなんだよ。何でアイツ殆どダメージないみたいな様子なんだよ。何で俺鋏(ハサミ)片方ねぇんだよ。

 ふざけんなって。アイツは獲物の筈だろ?多少強いらしいからって俺等んとこが駆り出されて、それでちょっとテンション上がってわざわざ子飼いのサーチモンからのタレコミ隊長に知らせんで一人で来たってのに。少しも俺の攻撃喰らってねぇよアイツ。精々突進の一発ちょっと掠ったくらいだよ。

 俺は小回りが利いて技で勝負する性質じゃねぇからよ、直線行動の速度とパワーだけでこれまで戦ってきたんだ。大抵の奴は一撃喰らやぁ吹っ飛んだし、避けられる奴なんかそうもいなかった。ましてや真っ向から受け止めるなんて在り得ないだろ。

 最初は奴も上手くかわしてやがったんだ。話ではかなりのスピードで動き回る奴らしいからそれは初っ端から考慮して当たるまで何度もいったろとか思ってた。奴は空中を自在に動く訳じゃねぇらしいからその内隙出来んだろと思ってたのにちっともあたりゃしないんだこれが。

ムカツクから手足も使ってクイックターンも始めた。こう、木を掴んで無理やり軌道を変える訳だ。そうすりゃ相手はこっちの動きを読みきる前に俺の突進を喰らうって寸法だったんだけどよ、それでも当たらねぇ。逆に俺の動きを見切ったみたいに攻撃までして来やがった。どうやらバランス型にスピードが特化した奴って感じだったからそこまでパワーがる訳じゃなくて其の攻撃も俺の装甲には通じる程の威力じゃなかったから気にしないでバンバン行こうと思ってたんよ。

したらアイツ、ってかアイツが背中に背負ってたナヨナヨした人間(アナログ)の野郎がなんかデジヴァイスかなんかがちゃがちゃやりやがってよ、そしたら急にそいつが光って姿が変わっちまったんだよ。最初の奴の姿が炎って感じなら後の奴は大地って感じだった。アイツの放つ気配がなんか普通には感じない変なやつだったからもしかしたら噂の精霊の力なんてのも使う奴だったのかもな。それは一切使ってこなかったけど。

身体に木の装甲を付けてよ、長い棒切れ両手に持って嫌な目つきでこっち見てきやがってよ。姿変わったからなんだと思ったけど妙に全体の雰囲気自体が変わっちまったから一応俺も警戒した。変な技とか使われたらこっちも結構敵わないところあるからな。でもアイツは全然動かずに棒切れをこっちに向けて、来たれよ、とか時代錯誤な言葉遣いで挑発してきやがった。俺はムカついたから最高速出して突進したんだよ。

 そしたらどうなったと思う?普通思っきし吹っ飛んで血反吐吐くんだよ。もしくは目茶目茶鋏で絞り上げて叩き付けてやるんだよ。でもな、そいつは俺の突進を片方の棒切れだけで受け止めやがったんだ。一瞬オオクワモンさんと相撲とってるみたいな気になった。滅茶苦茶重たくてちっとも小技が効かない。ムカツクけどこりゃ押しても全然駄目だわって思って鋏でがっと締め上げたろと鋏を閉じたんだわ。そしたら今度はもう片方の棒切れで鋏に一撃。

そいつの身体が締まる心地良い感触の代わりにビシっと鋭い痛みが右っ側しの鋏に起きたんよ。そんで、ポロっと。あっさり。刀で斬られたみたいに綺麗に。勿論俺の鋏は切れ口なんて綺麗な形で折れてなくて単純に罅からいった感じだった。でも力の入り方とかがもう刀みたいなモンで、あともう少し鋭く行けば折れたんじゃなくて斬られてたことになったと思う。そしたら俺は治療所の奴等に棒切れで斬られたなんて間抜けなことを言わなきゃならなかったところだ。

折られたって実感した瞬間に急に其処が凄ぇ痛みだして本気でやってられなくなるぐらい痛みだして俺、マジビビって思いっきり後ろに退いた。前のデカイ遣り合いに参加しに行った時、全身に炎放たれても突っ込んでった俺がだぞ、どんな事か分かるか?

それでも退きっぱなしじゃいけねぇってのは分かってる。心で負けちまったらどんな戦いもお終いだ。今目の前にいる奴は偉い余裕で構えすらとってねぇ。鋏一本折られちまったんならもう一本も折られるつもりで前に行きゃいい。オオクワモンさんだって絶対そう言う。んでオオクワモンさんがそう言うってことは俺もそう言うってことで、それは絶対だ。

俺は片方の鋏で突進した。鋏が折られたら腕で掴みかかりゃいい。
けどそれはあっさりかわされた。鋏の無い側に、俺を馬鹿にしてるみたいにかわした。直に反転してもう一度突進した。次はどうだこの野郎。避けられるかそれともまた受け止めるか。

思いっきり突進した俺に対しそいつはまたさっきみたいに片方の棒切れを前に構えて受け止める体勢を作った。次は負けねぇ、脳天から突っ込んで横から鋏で薙いでやる。でもそいつはその木刀を地面に突き刺した。何のつもりだと思ったけどもう今更方向転換してられる間合いでもねぇ、俺はそのまま突っ込んだ。地面に突き刺された棒切れが地面を切り裂いて進む。

なんだ、地面に刺して衝撃を和らげようとしてたってのか。そう思ったがそれは違った。奴は暫く俺が棒切れと奴を押し続けると急に奴は空中に跳び上がった。棒切れを支えるのが地面だけになって急に軽くなって押すのが楽になった。

いつも何処にあるのか分からないと言われる目だけがそいつの姿を捉えた。空中で一一回転して俺の背中側に回る。そして棒切れを振り下ろす。それは俺の背中のど真ん中、両方の硬い羽の付け根に打ち据えられた。位置的には背中っつかまぁ正しくは其処を背中というのかどうかそれは間違いだって節があるが詳しくは知らないから今のところは背中って事にしといてそこに鈍い音と強い衝撃が加わった。

ものの見事に急所にも近いような場所に適量で的確なダメージを喰らった俺はそのまま硬直するように全身を動かす機能を失い地面に腹を擦って這い蹲った。一瞬さっぱり何がどういう状態なのか分からなくなって辛うじて地面に落ちた痛みで意識を保っていた。止まらない勢いで最終的には木にぶつかった。かなり朦朧としていた。

そのまま殺られっかな~と思ってると聞きなれた羽音が耳に入ってきてこれまた聞きなれた炎の弾が唸る音を聞いた。なんとなく気配で奴がそれを避けて退いたのが分かる。羽音が近づいて来て俺に言った。


「アンタ程の奴があっさりやられんなよ」

「…アッサリ、じゃねぇよ散々遊ばれてからだ」


 もう喋るのも正直キツイがだからつってキツイなんてのを見せるのも嫌な俺は軽くそう返した。片膝を付いて俺の俺た鋏を触る。火の技を使うこいつは身体が常に熱い。その熱が伝わって余計にくらくらしたが、まぁもう既に気を失うくらいくらくらきてたから変わりはない。


「全く、単独行動で遊ぼうとするからだよ。後で隊長に謝れ」

「…でなきゃ殺されるでしょ、あの人厳しいし」

「下手すりゃ槍で串刺しだぜ。武士道みたいなのジュエルビーモンさんは好きだからな。お前ホント守るもんは守れよ其の中なら何でもできんだから」

「…煩ぇ、お前もくたばっちまえ」

「そしたら姉さんに二重に殺されるって」

「…治療する時にとどめ指さないようにちゃんと言っといてくれ」

「…多分それ後から来た奴に任せたほうがいいな」

「…あ、分かる?」

「多分、なお前がそうなんだから当然だろ、大して俺等強さ変わらないんだから」

「お前の方が僅かに弱いけどな」

「黙って気ぃ失ってろって」


 奴が最初の姿にしていたような装甲を付けた黒い体に炎を模したような羽を付けたシェイドラモンが軽く笑って立ち上がった。多分顔は笑ってないだろな、あれ前にして笑ってなんかいられねぇし。

 するとまた周りが光って奴が雰囲気を変えた。多分元の姿に戻ったんだと思う熱気が少し増した感じがしたし。でもそれっきり俺はすっかり気を失っちまった。其の前に半端な強さじゃないぜと言おうとしたけど、もうシェイドラモンも分かってるみたいだから止めた、俺だったらこんな敵相手に水を刺されたらムカツクし。いやいや、久々に楽しかったぜ、全身滅茶苦茶痛ぇけど。










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在り得ねぇ。

 そいつ等はわしの放ったデザートウィンドを左腕の装甲付きの爪で、爪付きの装甲なのか?兎に角そいつでふわっと、もう本当にふわっと消滅させた。それもその一撃を振るう一瞬まで一切此方を見ることなく。

わしの、ってかわし等の種、サンドヤンマモンのデザートウィンドってな技は高速で回転する風の刃。旋風よりも平べったく研ぎ澄ましたそれには自分の身体から発生させた砂を混ぜてより凶器性を上げている。其の筈なのに奴はあっさりとわしのデザートウィンドを切り裂いて散らせてみせた。わしのダチが放ったやつも同様に恰(あたか)も始めから其の場所で散る筈だった風の様に一切の攻撃性が無かったかのように爪の先で消した。当たればスッパリ肘から先がサヨナラする筈のそれを。

 昆虫型でもかなり機敏な動きが武器の蜻蛉の姿のわし等サンドヤンマモンとヤンマモンの追跡隊。そもそもそのわしらの売りのその高速移動が追いつけないことが在り得ねぇ。それもこっちは得意の森の中を空中で移動しているのに、向こうは木の枝や幹を足掛かりに一歩ずつジャンプをしているだけだってのに。

其の上まだまだ余力を残している様にすら見える。はっきり言ってあれに勝てる気はしない。足止めにすらなりゃしない。幾らわし等が束になろうと敵うはずが無い。というか此の儘(まま)だと追い着く事すら難しい。

 なんて考えていると目の前に太い木の枝が迫って来た。一瞬の其の出来事を複眼の探知速度が何とか其れを避けられる程度の距離で認識し間一髪頭を下に向けて飛行の高度を下げて避けることは出来たが後続の奴に其れを伝えている暇なんて無くあっという間に一匹其れに派手な音を立ててぶち当たって墜落した。

かなりビビッて一瞬引き返してそいつらを回収してやろうかと思ったが残念だがそいつを拾ってなんかいられねぇし、多分後々何処其処の辺りに墜落したぜってな事も言える状態でなくなると思うから帰還は自分の力でして貰おう。死んでなきゃの話だが。と、そこまでやわだとは思わないが。

 敵はかなり場数を踏んだ戦い慣れた奴だというのが容易に想像ついた。自分のパートナーを背負いながらあの運動能力だし、何よりこの状態でこっちに反撃しようと考えてくるその思考が恐ろしい。しかも無理に反転してこっちに向かうのではなくて木の枝っていう周りのもんを使っての攻撃を考え付くってのが凄ぇ。だから多分逃げ回っているのもこっちの数が多いからとかそういう理由でなく、もっと別の、例えば体力の温存を図ってたりとかそういった辺りの理由だと思う。

 やや前方を飛ぶヤンマモンが光線状の電撃、サンダーレイを放った。わしのデザートウィンドよりも攻撃速度が格段に速いそれなら一瞬敵に掠るくらいはするかと思ったが、それはあっさりとかわされ足場となっていた木に火を着けるだけに終った。と思った瞬間に続けて他のヤンマモン達が間髪入れずにサンダーレイを放った。

放った後に一定の充電時間が必要なサンダーレイは連続での攻撃が難しい。それを数匹が続けて行ったのはかなり良い作戦だった。サンダーレイはこっちの技の攻撃力に比べてかなり威力が劣るが、其の分狙い易いのと感電による一瞬の怯みが嬉しい技だ、それも防御の上からでも感電の効果は当然発生する。だから見る限り炎の技をメインに使っているだろう奴は避ける以外にこの技を防ぐ方法がない。

そこで奴が地面に居る場合はまた避けられちまう可能性は高いが、しかし今は地面とはかなり離れた位置に居る。移動の速度が極端に速く地上で避けるのと木と木の間を移動するまでの時間にそこまでの差が無いとは言え、幾分か狙い易いのは確かだ。

上手いタイミングで攻撃できれば一度攻撃を避けられた後に発生する滞空と着地のタイミングでは攻撃が当てられる。完全にダメージを期待していない攻撃の仕方だがこの場合はそれで十分だ。動きを乱せばわし等の技も当たり易いし何より高速移動を防げる。

 しかしあの敵相手にそう上手くいく訳もなく、敵は動きに緩急を付け此方に狙うタイミングを計られない様にしてきた。わしもデザートウィンドで援護してみたもののサンダーレイ以上に風の渦を巻くので時間が掛かる為に役立たないと感じて止めた。それに向こうからの木の投下攻撃は続いていてそれどころではないというのも実状だった。

ちょっとでも目を反らすとそれはどうやって狙っているのか的確に此方へ跳んできた。ヤンマモンもそんな状況に程無くして連続で技を出すきつさに耐え兼ねて止めた。

 そしてその気を抜いた一瞬のタイミングを狙って奴は急に木に両足の爪を突き刺して動きを止め此方に小さな火炎の弾を数発撃ち出してから再び跳んで行った。相手を追うのに夢中で腕にエネルギーを溜めているのを気付かなかった所為で全くと言っていい程其れに反応出来なかったが狙いの大半がヤンマモンに向いていた様でどうにか難を逃れたわしと数匹は引き続き奴を追い続けた。

しかし、こっちはもう品も手数もネタ切れ。せめて出来ることはひたすら奴を追い続けて姿を見失わない事と奴が疲れてスピードを落として直接攻撃出来るくらいまで我慢することくらいだ。といってもどっちもとても適いそうなものではなく、多分持久戦、体力勝負となったらこっちの方が早く音を上げるだろうなという事が目に見えていた。


「もうこれだけな訳?お宅等情けなくない?」

「五月蝿ぇな。毎度毎度遅刻のアンタんとこに言われたくねぇよ」


 高慢ちきな嫌味からわし等の列に参加したのは尻から飛び出した尾がガトリング砲になっている蛾のタイプの昆虫型モスモン。もしかしたら蝶だったのかも知れないが正確な話は終ぞ何処でも聞いたことがない。兎も角そのどちらかの型のモスモン達がわし等の横から入ってきた。いつものように後から来て手柄を奪いたいらしい。そしてまたどうせいつものように出来ることと言えば無駄にガトリングを撃って森を傷付けることだけだろう。


「何だっていいさ、退きな。俺等で撃ち落してやるよ」


 そう言ってモスモン達はガトリングを前に構えてを放った。バルルルと相変わらず嫌な音を立てて一斉射撃が敵に浴びせかかっていった。


「おらっ、死ね。撃ち落されろっ」


 馬鹿丸出しの罵声で馬鹿丸出しのガトリングを撃つ馬鹿丸出しの奴等。細かく動いてそれを避ける敵には一向に当たる気配がなく森の彼方此方に穴を開けていく。三秒間で百八十発とそれ程早い速度ではないガトリングじゃこの程度が精々だ。あぁ今度こそ敵にやられてくれると清々するんだが、いつもあと少しのところでこいつ等は死なないんだ。


「もっと狙えよお前等」

「お前になんだかんだって言われたくないね」

「五月蝿ぇよ。それだけばら撒いてるんだから一発くらいは当てろよ」


 高速移動に向いていないモスモンの羽では通常でも奴を追うのは難しい。其れなのにガトリングなんて撃つから尚更だ。段々敵との距離が開いていきそろそろこいつらを置いていこうかなと一瞬考えたがわし等だけで追っても何も意味が無いから仕方なしにモスモンの方へ尻尾を差し出した。


「鈍臭いんだよお前等。尻尾に掴まっとけ、飛ばすぞ」

「何が理由で汚いお前等の尻尾を握らなきゃいけないんだよ」

「こっちだって好きでやってんじゃねぇっての。でもお前等が速く来ないと何にもならねぇんだよ。手数不足なの、何でもいいから役に立てうすのろ」

「お前この野郎下手に出てりゃ粋がりやがって」

「嘘吐け、それの何が下手だよ、いいからさっさと掴まれっての。置いてくぞ」

「何だってんだ、攻撃には大して役に立たない癖に

「いいから掴まれっての!」

「…ぅ、分かったよ」


 漸くモスモン一端ガトリングを撃つのを止めてがわしの尻尾を掴む。途端にかなりの重さが身体に掛かる。重さ分使える武器を持っているなら兎も角あれだけ撃って一発も当たらないような銃器しか搭載してないと来たもんだから使えないんだよ。気分の分余計に重く感じたが、今までより少し無理をしてかなりペースアップを図った。他の連中も何とかわしに付いて来ている様だった。

 モスモン達が再び銃を撃ち出すとまたより重さが身体に加わった。かなり飛ぶのがしんどくなるが此処で見失うとまた後で腑抜け野郎とか言われてかなり面倒を他の連中に押し付けられるなと思うと意地でも置いていかれる訳にはいかなかった。相変わらず銃の狙いは悪い。わし等で無理やり狙いの範囲を広く取るように誘導しているのにも関わらずさっぱり当たる気配はない。


「何時になったら当たるんだよお前等」

「黙って引っ張ってろ気が散るから」


 とそうやって悪態を吐いてモスモンの方を振り返ると、モスモンの顔にあるものが見えた。それは驚きの色。それに気付いてすぐさま視線を戻すと眼前にはほとんどが茶色い景色が迫っていた。それが敵によってこちらに向けて焼き倒された木だったとはっきり認識した時には既に数組のサンドヤンマモンとモスモンが巻き込まれて弾き飛ばされているところだった。

これはまずい。身体に嫌な電撃が走った。心模様と同時に複眼が揺れた気がした。避けきれるか?と訝りながらどうにか上を越そうと身体を上空に向けて捻ったがモスモンの身体の重さの分上に行ききらずに足が捥ぎ取れるんじゃねぇかってくらいの衝撃を受けて木に引っかかって其の反動でクルクルと回転して地面に叩き落された。

モスモンと共に仰向けに地面に転がっているとその上をたった二組足らずのサンドヤンマモンとモスモンが飛んでいった。多分そんなに時間も掛からず同じように打ち落とされる気がした。





 在り得ないっての。いやマジで。

 俺の仕事はいつでも罠を張って待つ。それだけ。よくくっ付く粘着性の高い細い丈夫な糸を綺麗に編み広げて知覚能力の高い奴も力がある奴も鋭い牙やら爪やら持ってる奴もそれで捕らえる。上手い事他の虫のよく通る道に陣取れるとかなり数を捕獲できる。んで其れからゆっくりとそいつらを食う。

…って訳じゃない。もっと別の種類のデジモンだったら美味いかも知れんけどあんな外硬くて中身ない、みたいな奴等を食うなんて気にはならんし、大体奴等腹黒いから絶対腹に悪い。デジタケで細々食うくらいが一番だね。つってもあれも美味い訳じゃねぇけどな。と、そういう話じゃねぇな。

だから、捕まえた奴はまぁ街に出てえげつないところに、何かよく分からんがデジモンの身体で研究してるとかそういう類の奴等に売り飛ばしたりとか、それでなけりゃそうされたくなきゃ金目の物を寄越せって取引したりな。一応公平な取引だぜ?助かる分の幾らかを割りと安く見積もって頂くのさ。

昆虫型デジモンが住むには此処が一番だからな、売られたり放り出されたりするよかよっぽどイイだろ。慈悲って奴よ。本当は売る方が金になるんだぜ。まぁ一見悪辣非道なことしているように思えるだろうな、此処に住んでない奴にはね。でもまぁそういうのが当たり前なのがこの場所。ナスティフォレストなんて呼ばれてんだ、普通さ。大体俺がそうやってモノを分捕ったって取られた奴等は奴等で別に色々やってんだから。

 んでまぁそういう能力を持った俺だからよ、いざこういう侵入者とかがあった時ってのは必ず新しい巣を張ってそいつを捕まえるわけ。ヤンマモンとかクワガーモンとか其の辺りに比べると地味で楽しくない役回りだけど、楽しくない分網に獲物が掛かった時の見返りは大きい訳。

相手は大抵此処まで逃げてくるのに大方体力使い切っちゃってて罠に掛かったら先ず逃げるなんて出来ねぇし、近くを通るだけでも十分迎撃し易い状況ってな訳。そしたらまぁ多少頭の回る所謂此処の秩序を守るってお偉いさんに素直に引き渡してそれで金を貰ったり、手柄が欲しいって大した腕もない奴等に高値で売りつけたりとかまぁ其の辺りの交渉とかで面倒はあるものの稼ぎとしちゃ悪くない臨時収入が手に入る訳よ。それで今回も同じ宝くじ当たるかな気分で巣を張って待ってのよ。

 結論から言うと大きな間違いだったね。こんな奴だって分かってたら絶対にこんなところで油なんか売ってないで絶対に奴に遭わない所に逃げ込んでた。あんなの倒せるのはオオクワモンだけだろとかマジで思った。

あぁ、アルケニ婆(ババア)なら全然余裕でイケるな。あれ以上に恐ろしい生き物を見たことねぇもの。でもあの婆さんは気に入った奴としかやらないとか言ってるからな、あ、でもあの強さなら婆さんも気に入るか?強い男は喰いでがあるとか言ってたしな。と、これ以上婆さん婆さんと言っているとまたどっかから飛んで来そうだからやめとこ。

 取りあえずアイツ、使う技はシェイドラモンの糞野郎のに似てやがったな。強い炎の技。でもシェイドラモンよかよっぽど強かったな、何しろこの俺があっさり一瞬でやられちまうんだからな。巣に掛かったとか思ったら直ぐ自分の身体ごと巣を燃やし尽くしやがった。何なんだと思っている間にアイツその燃えた身体の儘突っ込んで来やがってよ。是でも俺は虫の中では火に強いタイプだと思ってたのよ、まぁ巣は燃やされるけど、羽無いし。

 でもあれは本当に傑作だったな、今考えても凄ぇよ。一瞬で俺炎上。みたいな。いやマジでさ、いやー燃えた燃えた、あのまま気絶してたら外皮強制脱皮より酷いことになってたぜ、ってか下手すりゃ死?いやギリよギリ。あんだけ転がり回ったのは始めてだ。本当によく生きてたわ。そっから先はあんまし覚えてないねぇ。

あぁそうそんでよ、気が付いた時にはなんとよ、バタフラ姐さんが俺ん所来てくれてたんよ。本人は奴を追ってた時に通り掛かっただけとか言ってたけど、姐さんは治療所勤めでもあるし、ありゃ絶対いの一番に俺んところに治療に来てくれたんだって。相変わらず治療がデータ屑のエネルギー補填剤だけだったけどそれでも何でもいいや。

ただ、哀しいことに姐さんはそのまままたあの奴を追うっつって行っちまった。後に聞くところによると姐さんが来た辺りの時間ではもうかなりの数の奴があの恐ろしいのと戦ってやられてたらしい。そんでクワガーモンやらスナイモンやら物々しい性質のデジモンが揃ってる戦闘好きの阿呆軍団が出動した頃なんだってよ。

其の中にはあのシェイドラモンの糞野郎も所属してやがって、姐さんはそれを知って追っていったんだってさ。ああ、何であんな野郎の姉なんだろう、姐さんは、腹立つわ。あぁ、それにしても姐さんいつも偉い良い匂いなんだよなぁ。

 それで話しを元に戻す。自分ごと俺に火を放つなんて恐ろしいことをしてきた奴は大した事もなかったみてぇにそのまままた遠くへ跳んでいった。少しもこっちのことを気に留めてやがらなかった。歯牙にも掛けないってのはこのことだね。まぁお陰で助かったけど。

 ちなみに、その騒ぎが終って俺がもう一度姐さんに会えたのはそれから三日後だった。結局あれだけ人員を動員しといて野郎は捕まらなかったんだとよ。シェイドラモンの糞野郎も人の巣に掛かった獲物を横取りしやがるクワガーモンも皆やられたらしいってのはかなり嬉しいがな。

ただそれでも単純に胸が空く気分にならないのは更にはもっとヤバイ連中等もやられたなんて噂が流れてやがるからだな。恐ろしいことこの上ない。いやいや、よく俺も死ななかったもんだ。マジで。他の連中も手酷くやられたらしいが死んだ奴はいないってのも凄ぇな。まさか、あれで手加減してた、なんてこたぁねえよな。完全体連中が一人も出て行かなかったとはいえそうだったら洒落にならんぜ。

こっそり入ってきたってことはQDCの奴でもねぇんだろうから最近の流浪モンは恐ろしいなんて噂に信憑性が加わるねこりゃ。ったく、デジドラモンの勢力と言い本当に最近はなんなんだよ。恐ろし過ぎて睡眠不足になるぞ。

 まぁ、ぐだぐだ言った所で分不相応なんて言葉も知ってるからな、無駄に騒がないでまた新しい巣を張って寝るとするか。








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 エルはまだ体の中に酒が残っていながらも大分早い時間帯から目が覚めた。否、寧ろ酒が入っていたからこそ神経が昂ぶり尿意を感じて起きたのだ。デジヴァイスに示された時間は六時半。彼には眠りに就いた時間の記憶はないが、騒いでいた時間が二時頃だったことを思い出すと大凡どの時間に寝たかは見当がつく。要するに二時以降に寝たのだ。

 ヤシャモンは手頃にあった木に背中を預けてピクリとも動かずに寝ていた。とはいってもそれは完全に寝ているからそうなっているのではなく、常に臨戦態勢の為半覚醒状態でも身体を休められるように極力運動による消耗を減らしているのである。

 エルはそのヤシャモンの横を抜けて森の少し奥、手頃な木に小便を引っ掛けに向かった。土に汚れた汚い毛布に包まって寝ていたため上を裸のまま行くことになったが、あたりはやや暖かくそれは多意識的にならないくらいだった。

手ごろな木に移動するまでの間地面に寝ることで固まった身体の至る場所を軋ませながら伸ばし解す。ついでに股間のジッパーを下げ、そして小便を始めた。寝起きと酒の効果が相俟ってかなり色濃いそれが流れる様子を眺めながら温かい湿った空気を感じてなんとなく癖のついたままの髪の毛の中を弄った。

 ただ伸ばしただけでは解しきれない箇所の筋肉を屈伸などの運動でしっかり解す。そして暫く両手足首をぷらぷらとさせるとそれほど長くない金髪を掻き上げひとつ大きい欠伸をした。そして身体の動きを確かめるようにシャドーボクシングの真似事をしながらもとの場所に戻ってきた。

 毛布の上に置いておいたデジヴァイスを掴み適当にボタンを操作してデータの中から五百ミリリットルのペットボトルに入った水を取り出し、一口、二口、三口、四口、口にしてから、ジーンズに掛からないように前屈みになって頭に浴びた。

石鹸もシャンプーもないが頭をごしごしとやりもう一度残りの水を頭に被った。ブルブルと頭を振るとペットボトルをデジヴァイスのデータに仕舞い、替わりにタオルを取り出し肩に掛けデジヴァイスを毛布に投げ遣ってから頭を拭き始めた。

 身体についた水も大方ふき取るとエルは周りを見回した。別段変化があることはない、ただ空から振る光の影響で頭上を覆う茂った深い緑の色が増幅して反射され、エルのいるその森自体が元より緑色だったかの様に風景の色味を変えていた。自分の皮膚すらやや薄暗いところで見れば緑掛かって見えるくらいだ。

 森に茂る樹木は全体的に背の高いものが多かった。大方は三十メートル程の高さで余程巨大なデジモンでない限り上空からはその姿を確認出来ない。しかし一方で、低い位置に葉や蔦を茂らす木もあり、ところによっては光が全く差し込まないのではないかと思えるほど鬱蒼とする場所もあった。エルの居る場所はまだ森に差し掛かったばかりで辺りには高い木だけしかないが、奥に行けば行くほど目線に近い木も多く生えるようになるだろう。

 なんとなくそばにあった木を蹴飛ばした。するとそこに留まっていたらしい何匹かの小鳥が一斉にその木を飛び立った。そしてエルは昨日の自分のご機嫌な楽器のプレイを思い出しながらその動きを再現するように手足を動かし始めた。しかし瞳は昨日よりも冷静で自分のプレイの難点を顧みているように見えた。直に口笛を吹き始めまたご機嫌な様子になってしまったが。

 エルは昨日の夜起きた出来事を思い出して少し笑った。プレイの再現を止め、腰に手を当てて大きな音を出さぬように噛み殺しながら笑った。なぜ思い出し笑ったのか、それは昨夜の出来事にある。エルとヤシャモンは酒が入り機嫌よく自分達の作るサウンドを楽しんでいたが、ヤシャモンが些かノリ過ぎて力が入ったの自分の造った石の太鼓と共に地面を叩き割ってしまったのだ。慌ててその場から非難した二人は結局予定よりも早くナスティフォレストの入り口に入ってしまい、結局その場で寝ることにしたのだった。


「ナンセンスにも程があるな」


 軽く含み笑いで独り言を言うとエルは寝ているヤシャモンに左のミドル、この場合では脳天目掛けたキックを繰り出した。


「虫が動きそうな頃だ。起きて場所を移動しようぜ」

「御意のままに、だな」


 右腕の手甲でエルの蹴りを受け止めると、ゆっくり身体を起こしてそう頷いた。エルは毛布も何もデジヴァイスに仕舞って適当にシャツを羽織って気怠るそうにしているヤシャモンを指で促した。

 地上に飛び出した絡み合った太い木の根が地面を覆い尽くし、踏み場がないところを踏み越してエル達は進んだ。バランスの取り難い足場を慣れた様子で難なくさっとエルは歩き、それはコンクリートの道を急いで歩くのとさして変わらない速度だった。

 地上に程近い場所では荊の蔦が絡んで道をふさぐところもあった。それは足元にも広がっていて、履き古したエルのブーツに更に傷をつけてゆき、まるで余所者の侵入を拒むかのようだった。しかし、エルは大して気にした様子もなく、迂回できるところは迂回し、どうしても進むしかない場合はヤシャモンが蔦を切り裂いて進んだ。

 少し高い位置に広がった荊を潜りエルは少しバランスを崩して脇の木に手をついた。しかし、そこにも荊が絡んでおり、その存在を親指の根元に生まれた鋭い痛みによって知った。しかし、エルは慌てて手を引く事はせず、木と逆の方向に僅かに身体を傾けて深く刺さるのを食い止めた。それからゆっくり棘の位置関係を確認して手を引く。

掌に血が滲んだが軽く舐めて唾と血を吐いただけで特に治療をすることはなかった。エルは少しイラ付いた様子を見せたが、直ぐに気持ちを落ち着けてまた進み始めた。

 二人は進む最中、殆どを無言で過ごした。会話の内容や必要が全くなかったからというわけでもない。現に時折エルはヤシャモンの方振り返り、なにやら合図をしたり、周囲を指差して笑ったりしたが、いずれも声を出さずに手振りだけで意思疎通を完結させていた。

 静かなること林の如し。彼の有名な武田信玄の風林火山の理の一説にそんな言葉がある。待つ時はじっと音も立てず静かに待つことが兵法において重要なことであると信玄は説いたが、その例えとして使われた林、森、というものは確かにとても静かなものである。

それは林や森から出る音が虫や鳥の鳴き声や羽音それに木々の揺れる音程度のものであり、更には木々がよく音を吸収するからである。森がエル達の足音を消して、尚且つ会話もないから辺りはとても清閑としていた。するのは耳鳴りだけである。こればかりは森も音を吸収することは適わない。

と、突然物凄い速度で森の多くの木や葉に吸収されずに高い耳につく気色の悪い叫び声が森を抜けていった。キィィともクェェとも判別し難いその叫び声は連続して続き、耳の中にピリピリとした違和感を与えた。エルとヤシャモンは歩みを止め、耳を澄まし目を凝らして周囲の様子を窺った。近いところに変化はない。どうやらかなり奥の方から聞こえているようだ。


「虫が起き始めたようだな」

「寝起きがこれだもんな、嫌になるよ」


 森を進み始めてから二人は初めて言葉を交わした。そしてそれから何も言わずに歩調を早めてまた歩き始めた。声がした方と僅かに向かう方向を変えて速くしかし今まで以上に慎重に、逃げるように歩を進めた。

 エルは歩きながらヤシャモンに先に行くようにと指で合図をした。ヤシャモンが大きく前に跳んでエルと目を合わせるとエルに合わせた速度で先の道を開くように進んだ。エルはそれに遅れないように歩きながらデジヴァイスを腰から取って弄り始めた。

 ホログラムディスプレイには自分とパートナーを示す青と緑の点の他に幾つかの赤い点が見受けられた。かなり広範囲をカバーして表示しているため正確な位置はよく分からないが、それでも確実にそれらに近づいていることを示していた。

 叫び声はまだ続いていた。いや、そうというよりは寧ろ増えていたと言うべきだ。明らかにそれらの巣窟が近くなっている。人間なら互いに言い合っているような演劇の掛け合いのような叫び声が広がってエルの神経を撫でる。嫌悪感を催す声に更に緊張感を高め進みはもう歩きではなく走りになっていた。デジヴァイスに映る自分たち以外のデジモンを示す赤い点が一番密集する場所とは離れているものの、それと接触しないで済む道はこの先何処にもないように続々と赤い点はあたりに増え、散らばっていた。


「エル、止まれ」


 急にヤシャモンが口を開き、エルの前で立ち止まってエルを手で制した。


「なんだヤシャモン、お喋りが過ぎると虫に見つかるぜ」

「その心配は要らない…もう、見つかっている」

「…オーライ、カメレモンか。見逃すなんてらしくないじゃないか」

「お互い存在に気付いたのが同時だったようだな」


 ヤシャモンは舌打ちをしながら木の幹を足がかりに幾つもの木の間を跳ねて遥か上方の枝まで飛び上がると枝の一本に木刀を振り下ろした。打ち据えられた木は葉を揺らして地面に舞い落ち、木刀を幹に擦り付けて落下速度を落としたヤシャモンが同じくらいふわりと見事に着地した。


「流石にここの生き物を一撃では仕留められんか」


 ヤシャモンは枝を叩いた木の脇の少し低い木のある一点を睨みつけた。するとそこだけ景色が間にガラスを通して見たように揺らぎ、次第にそれはしっかりとした形を示し、色を示した。

 カメレモン。その名前の通りさながらカメレオンの様な姿でそれはヤシャモンの目の前に姿を現した。緑と赤のストライプの皮膚にヤシャモンに一撃加えられたらしい変形したアーマーとヘルメットが一繋ぎになった装甲を身に付けていた。木の幹に垂直にへばりついたそいつの目は真っ赤に染まっていてその中の瞳がグルグルと回ってはこちらに焦点を合わせていた

 デジヴァイスは独自のパルスを発してそれの反射でデジモンの存在を認識する。そのパルスはデジモンのデジコアとそれに類似したパルスを反射できるデジヴァイスにのみ反応して、それをデジモンやテイマーと認識する。しかしそれでもその機能は万全ではない。

弱すぎる反応、つまりデジモン自体がかなり衰弱している状態やもともとが弱い幼年期などは反応を拾うことができない。また、デジコアに反応して認識するため、そこまでパルスが届かないと存在を感知することが出来ない。

 一方のカメレモンの能力は皮膚の表面に周囲に同化する色を発生させデジモンが知覚出来ないようにするもので、その皮膚の色を変える物質にはデジヴァイスなどあらゆる探知能力を無効にするパルスを放つ物質が混じっていて、そのパルスによってデジヴァイスのパルスをすり抜けていたのだ。しかし、高度な感覚を持っているデジモンには探知されてしまうこともあり、頭部のアーマーでその全てを操作している為ここにダメージがあると身を隠すことができなくなる。故にヤシャモンの一撃を受けたカメレモンは姿を現したのだ。


「早々に仕留めるか」

「いや、目が赤い。ってことはもう仲間に情報を発信してるだろ。だからここは…さっさと逃げよう」


 エルは言うなりカメレモンの居る木の下を抜けて駆け出した。ヤシャモンは僅かにカメレモンへ向かいたい衝動に駆られながらもエルを追いかけることにした。


「動きがこっちの存在に気付いてきた感じだぜ。どう逃げる?」

「一度東方へ迂回すべきだろう。最短ルートからかなり離れてしまうが致し方ない」

「かち合う前にいけるかな」


 散らばっていたデジヴァイスの赤い点がすこしこちら寄りに近づいてきているのを見てエルは少し足を止めヤシャモンに問いかけた。こちらの速さに対して向こうは数倍の速度でこちらを意識した行動をしている。その数から考えてどうあっても直接何匹かと相対するのは避けられない様子で仕方なくエルは迂回するルートを取る事にした。

 通常デジモンの反応があったからといってここまで回避しようと考えることは無い。こちらが何か刺激しなければ向こうから手を出してくるなどということはそうそう滅多にない。しかしこの森では事情が違う。全てを敵と認識して行動しなければならない。少なくともエルはそう思っていて、同じ考えを抱く生き物が幾らもいるだろうことも想像に難くない。

 この森の生物は他所からの侵入特に拒む傾向がある。というよりは単純に気性が荒く、暴力的なのである。ここに来るまでに聞こえていた叫び声もおそらくはここのデジモン通しの諍いであろうとエルは想像していた。例え同種のデジモンであろうと、同じ集まりの仲間であろうとここの生き物には関係がない。腹が立てば互いに攻撃し合うのだ。故にエルは極力、いや絶対にここの生物には姿を現さないと考えていたが、今し方その思惑が破れこうして逃げる破目になっていた。


「ライドラモンかセトモンが本来はいいんだけどな、ここだとその姿じゃ速度がありすぎて危険だ。いくよ、デジメンタルアップ!」


 エルはデジヴァイスを翳してヤシャモンに向けた。するとヤシャモンが光に包まれ見る見る間に姿を変えた。青い竜人の身体に赤い炎を模した装甲が特徴的なフレイドラモンがその光の中から姿を現した。エルは早速その背中に負ぶさりしっかりとしがみ付いた。


「落ちるな」

「落とすなよ」


 軽い冗談のような会話が交わされるとフレイドラモンは足に力を溜めた。足回りの装甲が俄に明るく光り出し、フレイドラモンが踏んでいる荊から煙が上がり始めた。

 ドン、と運動会のピストルを鳴らせでもしたのかという音を発してフレイドラモンの両足は地面から離れ木へ、そして木から木へと次々に着地場所を変えて行った。フレイドラモンが踏んでいた荊からは火が出ていて、道導をつくるように着地した木には焦げた後が付いていた。

フレイドラモンは高速で森の中を跳び抜けていった。同じ頃この森に住むデジモン達は侵入者に目を血走らせて森中を飛び回り始めた。静かだった朝の森は消え、代わりに辺りは森の外にも溢れ出そうな羽音でいっぱいになった。


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漫画「いいひと」はどうしてドラマにしてしまったのか。どうしてスマップを主人公にしてしまったのか。どうしてその時にニーズに合わせて適当に改悪してしまうのか。草薙関連の話です。

さて、男と女の違いについて続きです。


女子から見ると男は鈍かったり適当だったりあんまり思いやりがなかったりするらしいです。それは流石に酷い言われようです。でも慣れてくると確かに適当で思いやりがなかったりしますな。鈍いのは元々だが。というより全体を分割して一部で見るので改めて全体を見ても気付かなかったりします。

今見ている相手が自分のことを好きか嫌いかなぞちっともわかりません。でも周りでいい感じになるなというのはひがみ根性が強い人ほどよく気付きます。そうやって過去何度アイツをアイツは付き合うなというのを想像して当ててしまったことでしょう。無論高等技術はないので、一気に付き合う人は分かりません。ストーゲイ(友愛)タイプの人とかつまりじわじわ接近してく人はよくわかります。

女の子は自分の変化を野郎に気付いて欲しいっぽいです。っぽいというのは「気付いて欲しいんだ!」と断言されても全然気付かずに過ごす事もあるので実際のところがどうなのか全く目にするチャンスがないのです。

男は新しい服を買って、気合を入れておされしてくかとか思ってもあえてそれを主張したり気付いて欲しいと思ったりはしません。自分で格好いいだろと思ってればそれでいいのです。その代わり気付いてもらって誉められたりするととても嬉しい。んで、けなされるとなんだか心がぐらつく。むかつくよりも凹みそうです。でも大体は多少のことと思ってるので大方の人は笑い飛ばすぐらいだと思います。

ちなみにわしは髪の毛を切った場合それをネタに何か一つ会話か面白い事がないかと思っています。髪の毛を切ったときに「頭切った?」と聞かれてうっかり「ああ、こないだ行ってきた」とか言って「頭切ったのかよw」という小学生によくある会話をした場合「頭を切った」は髪の毛を切ったという意味で使う事が出来るので(それに髪の毛さっぱりしたとは言わずに頭がさっぱりしたって言うあたりからその表現が間違ってないと言えるだろうしな)別に間違ってねぇよと言ってやれと将来子供に教えたいと思います。

さらに言うとわしは既に三回程頭部を切って縫っているので「頭切ったのかよw」と笑われた場合「昔三回切ったがなんだ?」とすかしを食らわせてやることが可能です。自慢になりません。



そうそう、なんだっけ。なんか違いっていうか単に女子の不満についての解答みたいな文章になってるな。話しを大きく戻そう。「おおきくふりかぶって」というタイトルの野球漫画があったような気がしますが、よく考えると小さく振りかぶったら投げにくいのでなんかこれはこの言葉を言いたいだけのような響きがいいから使っただけのようなタイトルの気がします。つまらんバスケをやっとるなと思った漫画が実はあのバスケ漫画をパクっていたと知った時の感情に似てます。その作品が好きな人、読んでもないのに否定してすみませんm(_ _)m


男女の「言葉」の違いだ。釘をささんとすぐ横にそれる。


男は昨日の分でも言ったが比較的物事を分解、もしくは簡略化して捉えるところがある。女子は逆に全体をまとめて捉えるところがある。なんでそーなのかは知らん。そういう風にわしが感じるだけで偉い先生が言ったかどうかわかんないし。

男女の一日に使う単語の2万字の差がその理由なのかもしれないし、逆に2万字の差の理由がその男女の違いなのかもしれん。

男が作ったと思われる単語、男が良く言いそうな単語にはこういうもんがある「萌える」「ワロス」「マジ」
で、女子が作った、言いそうな単語は「キモかわいい」「イケメン」「ウザい」
実際どっちが使っててどっちが作ったんだかは知らんが。
これ一つとっても違いが分かるのは男は言葉の意味をとってて女は言葉自体を取ってるんだよね。

まぁ使う気になったらどっちも使うんだけど、「萌える」とかって言葉そのものの意味を説明しろったら難しいじゃない。まぁ多分芽生えるとかの意味で何かの感情が芽生えるとかそういうことなんとちゃう?
そんな風に言葉だけ聞いてもあんまし直接意味が分からんだろ?今はみんな使われている意味が分かってるから理解できるけど。
ワロスもマジも意味そのままじゃんとか思うかもしれんが良く考えるとワロスはつまり面白いってことだがその元の形は「笑わせる」だろ?マジも本気でってことだけど元は「真面目」だろ?言葉としては違うんだよ。でも意味が近いから代用してでもそのまま使う訳にもいかんし変形させてんじゃん。分解して、さらに単純化してるだろ?

一方でキモかわいいとかイケメンとかウザイとかそのまま。「キモ」くて可愛い。イケてるメンズ、うざったい。ほぼ略しただけやん?キモイもそもそも気持ち悪いの略だろ。殆ど言葉の形が変わってないんだよ。昔はやったチョベリバ(しかし死語)も正しくそのまま。ギャル文字絵文字メール(なんかマークだけで連絡を取り合う暗号みたいなあれ)も表現が変わっただけで意味がそのままストレート。ものが婉曲しないんだよね。

その点がお互いにズレを生むんじゃねぇかと。意味と形(もっと言えば音か?)その違いがあるんだろうと。

で、男女の本質はそれとは逆に男は形を求めて女は意味を求めるような気もする。もっともくさいところで「愛している」という言葉があってそれを言われた時に男にとっては愛されてる事が重要で、女にとってはどう愛されているかが重要なんじゃないかと。…多分これはどっかで聞いたことがあるような気がする。

まぁ確かに、言葉の意味を考える男は「愛している」という言葉を聴いてつまり愛されてると理解する。その意味つまり愛されているという形が重要だからそれだけで十分な訳だ。で、女は「愛している」という言葉を相手から聞く事が重要で、その言葉の意味が本当に自分が愛されているという事実に繋がるかどうかが重要な訳だと思われる。

あくまで想像であり、上の言葉に限らないのでご注意を。そして男女の愛情についての違いの話でもないのであしからず。そんなん語るほど知りません。
そして面白い事に相手が本当にその言葉を真に思って言っているか女子は確認する余地があって男子はないんだよねw思考がそこで止まってっから。考えたり説明したりが上手いくせに男が馬鹿で鈍感なのはそういう事なんだろう。過程がどうとかでなく結果を求めて決めちゃうから先がないw

ちなみに余談だがこの場合逆に言うと男は単語そのものしか言わんしそれで十分だと思っていて女に伝わらない、女はその単語がどういう意味かどういう事かまで言うかもしれないので男の思考は絡まってストップするかも知れません。つまり男の言う事は女に伝わらず、女の言う事を男は理解出来ないって事になる。

なんか数式みたいだな。結局よくある話に戻って来たよww

だからまぁ男は思っている以上に言葉数を増やして物を申した方が良くて、女は多少控えてみるとお互いバランスがつりあうのかもしれません。でもバランスなんかつりあわないのが世の中なのでやっぱりその辺は四苦八苦しながら生きることになるんだろうなと。

そういう結論。

長かった割にくだらないなww





続きはウェブで・・・ではなくロシアじんへのコメントくれた返事。
⇒ 続きを読む
嘉門達夫より。
っていうか男と女の違いについて。ちなみに男女間に友情は成立するのは理論的には不可能ではないのでありえます。ただ当人同士が問題をややこしくするだけで。とかなんとかばっさり切ってみる。っていうかこの手の話題はどうでも良い。どっちも大してかわんねぇだろと思うから。
なんか人が話してんのを聞いて思った。成り立とうがなりたたなかろうがどっちでもいいじゃねぇか。

さて、初っ端から話がそれてますが男と女の違いについてをちょっとこのサイトから飛べる仕様もない擦れ枯らしタソのやっている魔法のiランドから飛べるブログでロシアじんが言っておったのでちょっとなんとなく考えてこっちでまとめてみます。二日に分けるかも。でもまとまるかも。ちなみに不満と愚痴じゃないすかという感想は伏せておきましょう。本人も承知の上でしょう。


なんでも狩の時代男は獲物から身を隠す為に黙り、女は獲物から身を守る為に喋るようにそれぞれなっていてそれが今の時代も遺伝的に伝わっているらしいです。で、その差(一日に話す言語の差)はなんと男2万語、女4万語だそうです。倍です。とするとニューハーフは3万語かと思いがちですが性質と状況から推察するに4万語だと思います。もしくは5万語ぐらいはいってるかもしれません。

でそれが何かっていうと男女間ではなかなか楽しい会話が成立しにくいらしいからなかなか不満なんだそうです。男は基本下心なので気を引こうとか気を使うとかいうのがあるうちは色々考えて喋りますが慣れてくるとこの2万語の差が物を言って話にならなくなる事もあるらしい。
女が色々話しているのに男は簡潔な返事か相槌しか打たない。

例えると
女が「今日は楽しかったね(10音)」と
男が「そうだね(4音)」
半分以下です。これなんか寧ろよくあるぐらいの会話ですが場合によっちゃ「ああ」で終わる人もいるかもしれないので2音です。同じ母音を続けるのがめんどくて伸ばしたらあーで1音です。十分の一です。
確かに少ない。しかもこの質問はクローズドクエスチョンでもないんだぜ?(はいかいいえでしか答えられない質問をクローズドクエスチョンと言う)切り替えそうと思えばいくらでもあるのにこれは確かに凄い。ちなみにわたくしは
「ドナルドを蹴ってダッシュで逃げたのが一番楽しかったわ。ってか係りの人の顔が笑えた」とか余計な事まで言うことが多いです。でも思いつかなかったらやっぱり「そうだな」とかしか言わないかもしれん。
ちなみにこれでデートといったら取り敢えずディズニーランドという安直な思考が読み取れます。はい、彼女なんていてたことありません。ちなみにドナとぐひと猿までは蹴りを入れた経験があります。係りの人に怒られたのは一回だけです。

野郎は物事を分解したり単純化したりすることが多い生き物なのでそうといえばそうなのかも知れません。女子は逆に全体を重視してよく見てる感じがする。例えると(経験が狭いのでなんとも言えんが)アニメの感想を聞いたとき大体男は「あのシーンが良い」とか「あいつのあのやりとりが」とかいう感想を具体的に言いますが女の子は「あの人かっこいい」とか「こういう恋をしてみたい」とか全体を見た抽象的な感想が多かったりするような気がします。要するに男は根本的にオタクです。日本人だけかわしに近い人間だけかも知れんませんが。知らんません。ガラムマサラ。

で、女の子が言うには女子は「おしゃべりする事自体が目的」であって、野郎共のように伝えたり語ったりする性質はそんなに持ってないらしい。それが男からするとオチがなかったり完結してなかったり無駄話だったり要点が分からなかったりとかそう思えるらしいという風に見えるらしい。女子との付き合いが希薄な上に女子と付き合いがある友達が殆どおらんのでわしはそうなのか?と思うばかりなんだが。まぁ限りある付き合いの中でそれは感じた事はない。まぁこれは特殊な例?ということで。

あ、でもよく考えたら母親は確かにオチがない話とかオチが自慢だったりする話はするので確かにわしも適当にしてる気はします。
あぁ、そうだそうだ。そういえば「うちのバイトの上司がむかつくんだよねー」で終わる会話は確かに野郎としては切り返しに困るかもしれません。でも「なんで」と聞いて「仕事中うざくてさ」とやり取りがあれば話は続くよな。くそどっちだ(´皿`)あ、まぁでも人の悪口で盛り上がるのは苦手なのでやっぱりそういう会話はしないかも知れません。でもなんかその人間が間違ってるような事をしてたりしたら意見は言うかも知れん。

あぁ成る程。これか。男は結論があったりしないと確かに会話をしにくい性質がありそうです。成る程男女ってのは難しいもんだ。これを女子に合わせる方向で意識を持ってくとそれはそれでなんか女の子もむかつくでしょう。お前適当にやってるだろ、と。上目線だろ、と。確かに上から見る上目遣いの女の子は可愛いです。でもこびてるのは嫌いです。ちょっとしょげてたりする態度だったら萌えます。なんの話だ。

これはコミュニケーション取りにくい。んでコミュニケーションがとれないもんは失敗します。そいつは体験で良くわかります。その体験が体験版だったらもう少し普遍性のある性格だったかもしれません。残念ながらやり直しは聞きませんという事はちっとも残念ではないがね。

昔の人は言いました「沈黙は金」「朕は国家なり」「男は黙ってサッポロビール」二つ目は関係ありません。三つ目は若干ネタもありつつです。確かに、男は黙ってる方が多いもんです。で、黙ってる男は何が言いたいかというと「黙って俺について来い」と「俺だけ見ろ」かと。どっちも昔聞いた言葉です。まぁこれは特に意味がありません。


続きます。
ロシアじんとこのブログよりバトンを入手したので埋めます。暇ありと言ったが殆ど映像(BGM物含む)を見てるお陰で何も手付かずな状態。早く小説書かなきゃ。新しいのも思いついてしまったし。
これはこれはシュールでなかなか面白そうなバトンですな。



名前バトンー。

【乳児時代の呼ばれ方】
だっふんだの人+ちゃん。
極偶に思い出した様にデリカットと。(名前が直ぐばれるな)

【小学校時代の呼ばれ方】
ファーストネーム呼び

【中学校時代の呼ばれ方】
半分ファーストネーム、半分苗字+君

【高校時代の呼ばれ方】
苗字君

【専門時代の呼ばれ方】
煙草を吸う人からは名前。そうでない人からはタムケンみたいな感じに。その呼ばれ方はそれほど好きでない。

【親しい友人からの呼ばれ方】
名前だろうな。呼びやすい名前とか言われとるし。

【彼氏or彼女からの呼ばれ方】
よーし大体必ずこの質問を絡めてくる奴を殴ってやろうか。

【家族からの呼ばれ方】
弟が乳児時代から変わらずの呼び方で親父は多分今も名前の前の方だけを呼ぶと思われる。他は名前。

【一番気に入ってる呼ばれ方】
・・・・・・?別に呼びやすいだろうから名前で呼べばいいんじゃないのかってくらいで特になし。

【あなたの名字は一般的な方?それとも珍しい?】
とりあえずうちの地域ではかなり多い苗字。両隣とその向こうのマンションの2、3部屋くらいが同じ苗字だったりする。郵便物が混同される。

【正直な話、本名は好き?嫌い?】
好きですな。多分親から与えられてるもんで一番好き。

【名前の由来は?】
名前が二文字合ってその後の方の文字はアニキとそろえたもん。前の方は砂糖の袋二つあるかないくらいかの体重で生まれてきたから病気がちにならんよーにとのこと。でも病気がち。
ちなみにフルネームの後に?をつけると博多の人が質問しているような感じになる。

【憧れる名字や名前ってある?】
ミハイロコフ、李、ハインリヒ、アシュミード、ボーモンド、無常。思いついたキャラの苗字だな。もし全部答えがわかったら友達過ぎる。

【結婚して名字が変わる時、この名字は嫌とかある?】
フグ田

【一番大切な恋人になんて呼ばれたいですか?】
単純に名前・・・という感じもしないんだよなぁ。何かあだ名が思いつくならそれで。でなけりゃ乳児時代の呼ばれ方で。ただし相手はワームモン以外に限る。いや、全員そーだろwwネタがわからんかったらヤフーでぐぐれw

【今までで可愛いと思った他人の名前】
可愛いと思った他人、の名前なのか可愛いと思った、他人の名前なのかどっちでしょうか。名前で言うならまぁネタ的にアニメやらを抜かすとすると、ミク、ユカ、アキ、アリサ、ミレ子。あ、最後ネタでした。

【子供につけたい名前がある?】
この名前はセンスがあるというアニメのキャラの名前を持ってくるかww女の子に「姫」という字を使った可愛い名前が無いか探してみたいところ。つけたいかどうかは別だが。
まぁ当て字みたいな特殊な読み方とか何か狙った名前はやだ。さっきDQN親につけられた酷い名前集の動画を見たので軽く殺してやろうかと思ったくらいだしな。

【彼氏(彼女)にしたい名前がある?】
上の可愛いと思ったは全部そうかもしれんな。後は・・・愛子とか?この字に限らずあいって付く名前には何か惹かれるものがある。でも愛美はダメ。愛と美しいのとが一緒にならんでると何か奇妙な感じがするから。誰かは知らんが別に愛美さんをけなしてるわけではないのであしからず。あくまで合わんなというだけ。







こんなもんか。
限りなくくだらねぇ動画。元ネタを見てないと微妙な部分もあるがなんだか下手な割りにクオリティ高いのでオモロイとも思います。っていうかこの下手さというか声の変さがたまらない。
元々の映像に勝手に(主人公と一部)だけうp主の声を入れて変な感じの作品に仕上がっているというもの。所謂素人吹き替え物。かなりふざけてますww
ちなみに2なのは1が殆ど吹き替え部分がないから。



http://www.nicovideo.jp/watch/sm114716

所謂一つのマリグナントです。やってはいけない禁忌を100パー無視した結果警告が来たとかいうあれです。でもやっぱりネタのわかるわしらにとっては神の一つである事は間違いない。これはやばすぎる。ステイメンアンパン号が吹く。







http://www.nicovideo.jp/watch/sm15946
わしの敬愛するヒロサーさんの昔の曲。腕はいいがしかしパワーがありすぎてアーティストの作品なのかプロデューサーの作品なのか時たまわからんくなるプロデューサー件編曲者がついていたころの作品。色と味が一発でわかるくらいこゆい件は見逃してくれ。でもいい作品だと思います。
広沢タダシの「ブルー」



http://www.nicovideo.jp/watch/sm31125
今回は20代が絶対に勝てない動画を紹介しよう。反応したら負け。ちなみにわしはこのシリーズの3までなら全負けでした。4は・・・ちょっと無理があったな。ってことで見てみろよろしく。
わしはとても良い時代に生まれたと思う。




http://www.nicovideo.jp/watch/sm128318
本当の意味での二代目「時をかける少女(2006)」漸くDVDを購入致しました次第で御座います。文体が妙に堅いのはなんとなくかしこまるようなそんな感じの気分であるからで、特にこれといった意味はありません。っていうか通常に戻します。

やっぱこの作品はすげーと思うわけでさ、これは是非とも布教活動してこうと改めておもっとんのよ。デジモンファンとしてはその存在だけでなんかたまらん人である細田さんの最新作な訳。まぁ結局のところそんな事も関係なく良かったなって思ったけど。

デジモンシリーズで映画を見に行った奴は全部友達と行ったんだけど、劇場でちゃんと見ようと思ったやつは、まぁ条件が良かったのもあるけど全部5回以上は確実に見てた。中でも春の映画は短くなってるから丁度映画館内の二つの場所で公開してたから最初の一つでデジモンとワンピースを見たりして、その後はデジモンを見たら次の場所に行ってデジモンを見てそれが終わったら次の上映までワンピースのやってる中寝てそれからまたデジモンを見に行ってとワンピースに非常に失礼な見方をしてたわけだが。おかげで最高10回くらいまで見た。1000円で。

なんとなく一回目時をかける少女を見に行った時にそれを思い出した。もしかしたら見に行った時の感想書いた奴におんなじこと書いてるかもしれん。

二回目はトモダチと一緒に酒を飲んで見送り(というか単についてっただけなんだが)に行った後家に帰らず新宿まで出向いて見に行った。最初に言ったところが中々音も聞きやすい映画館だったから(時かけ公開しているといえばこの館だろというテアトル新宿。ブレイブストーリー見に行った館とは色々な物が段違いだった)もっかいここがいいなと思っていった。ってそんなに上映館が多い訳でもなかったからまぁ選択肢はあんまないわけだけど。同じ映画を自分の金で二回目を見に行ったのは初めてだった。やっぱり泣いた。

不思議と今時かけのDVDを見て思い出すのは見てたときの感想とかでなくて、二回目見に行った時の帰りの事。トモダチと飲みに行った事も思い出すし、映画の帰りのなんだか無駄に眩いくらいの日差しも思い出す。もうそんときは10月だったんだけど。

時をかける少女はその作品性も凄いと思うし技術とかそういう裏の面でもやっぱ評価されて然るもんだと思う。やっぱり技術って大事だと思うんだ。内面が伴ってないと意味ないけどさ。

だって技術を向上させて使うにはその分の時間が必要じゃん。時間をかけるには熱意が必要で、やっぱりいいなって思える物に使われてる技術は熱意からきてるもんだし、そういうのは本編の内容の感動に新たなもんを加えると思う。そういう意味で技術的な話って凄く好き。何かを解して人の人間性とかを感じるのもすきだしな。

バイト代が入ったばっかで使う限定版の1万は痛かったけどっていうかおかげでもうお金ないんだがそれでも払ってよかったと思う。安くても嬉しいけど良いもんはその分のお金を払うべきな気がするし。

感想は・・・今更変わらない。やっぱりいいなってだけだし、あの辺の技術はすばらしいとか主人公真琴のあのしぐさかわええなとかさ。あいつ男前とか。新たな発見もいっぱいした。やっぱり同じシーンで泣いた。泣く箇所が3箇所あるが毎回泣いてた気がする。なので家族と一緒には絶対見たくない。なくから。

なんか取り留めのない文だなwwでも撮りとめはなくなると思うさ。うむ。
せっかくなのでこの映画を見た感想とか感じたこととかをつづった詩があるのでちょっと載せる。片方は既に他の人から依頼があって曲になってるもんだから転用禁止。まぁ曲になった時のタイトルと違うタイトルなんだがそのまま載せまっさ。もう片方は前に一回載せたかな?うむ。さて、凄い個人的お宝な物なのであんまり人には貸したくない部分もあるが、折角だから近しい人間には貸して布教しまくるぞ。
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「えっと、一乗寺君も知ってのとおり最近はここの近くの紛争が結構多いでしょ」

「はい、そうですね」

「それで、今後それにどう対処していくかを聞いておきたいんだ。一乗寺君はまだまだ仕事あるだろうし、比較的自由に動ける僕がそれによってみんなに指示を出していこうかなって思ってる。これでも僕は下に顔が効くからね。具体的に何か考えがあれば言ってくれよ」

「あ、はいそうですね。色々とそれは悩みどころなんですけれど」


 一乗寺君は僕に向けていた目線をパソコンに移してなにやらキーを叩き始めた。カタカタとやって終わりにエンターキーらしいキーと叩くと、デスクの右側の縁に設置されているつまみで照明を搾って部屋を暗くし、パソコンから繋がっている空中投影機の光度とかを調節すると一乗寺君の右手、僕の左手側にパソコンの画面の内容、地図のホログラムが映し出された。この世界の地図、といってもその全体像を写すものでなく、この近辺ディレクトリ大陸東部を拡大した地図だ。

そして僕の右手側、一乗寺君の左手側からイノミヤの鼻歌が聞こえてきた。緊張感が大分なくなる。あいつはもう既に主婦気分で、一部の噂では通い妻らしきこともしているとか。…まぁそれ単にあいつがよくここの支部に来るからって流れた噂なんだろうけど。


「この支部より東側はヨーツンマウンテンの入り口になりますからそこには勿論争いが起きようもないですしそっち側に関しては今のところデジタルサイトアイの監視のみで何も手はつけていません」


 マウスの矢印がこの支部の辺りをグルグルと回って場所を示し、時折ポイントをクリックして更に拡大した地図を見せる。ポイントを指すと赤く脇のほうに細かい詳細のデータが浮びあがる。ものによっては映像なんかもついていて、きちんと英文でなく日本語に訳された表記になっている。かなり便利に作られていて、これのプログラミングの一部を任されたって奴は相当凄いと思う。

ただ、何故か余計に観光スポットやら特産、名物などの情報も載っているのは遊びなのか真面目なのか奴の性格の成せるものかなとも思う。そうやって単純にすごいなと思わせてくれないあたりがある意味イノミヤの凄いところだ。まさかこの特産とかしかプログラムしてない、ってことは無いよな。ちらっとイノミヤの方を見た。ありえなくはなさそうだ。

 話を聞いて不謹慎にも少し一乗寺君は律儀すぎるところもあるなと思った。今の話の大方はこの世界に身をおいている生き物なら誰でも知っているようなことだ。話にでたヨーツンマウンテンとはこのディレクトリ大陸の最東にある第二支部の更に東へ向かうとまず涸れた荒野が広がり、そのもう少し先にはとても大きな山がある。

そこにはとても危険で巨大なデジモン達が住んでいて、近づいてはいけないと言われている。実際、調査に向かった調査員も大型のデジモンを多く目撃していて、とても山道を進んで行けそうにはなかったらしい。

 ヨーツンマウンテンの名の由来は北欧神話のヨーツンヘイム、という地名から来ている。そこは巨人の住む国であり、巨大デジモンが住むことからきているのだと思う。でも、一説にはそこに住むデジモンの屈強さゆえに某かの秘密がそこに眠っているのだとも言われているから、ヨーツンヘイムの知の泉があることになぞらえてそういう名前がつけられているといわれている。しかし、事実の程はやはりそのデジモンたちに守られる結果となって未だに分かっていないとか。

 デジタルサイトアイはその調査に大いに活躍した、まぁ言わば人工衛星みたいなものだ。このデジタルワールドのいたる上空に存在し、カーネルの操作によって地上を監視する存在。とは言ってもよっぽどデジタルワールドで高い地位を得ている存在でない限り、そこで得られた情報の一部でも得ることは出来ない。

でも、兎に角その存在とそれの情報を手に出来た人間やらデジモンやらのお陰でヨーツンマウンテンがどうなっているのか多少ではあるが分かっている。でも、今のところ一般人が知っていることは山道がとても険しい道であることと、それを楽に上り下りするデジモンたちがうようよと居ることだけだけど。


「僕が今回行ってきたスネークリバー、それにバーンロックスの付近は比較的落ち着いてこの支部からもそう距離が離れているわけではないから対処としては今まで通りで良いと思います。ですが、そこから先ナスティフォレスト、PDPタウン、それに闇帝平原。あの辺りはとても警戒が必要だと思います。だから監視の為の対策本部をそこに設置しようかと考えています」

「あの辺りか…とすると本部はPDPタウンに置くことになるのかな?少し危ない気もするけど」

「そうですね、一応付近の小さな集落に設置するとも考えたんですけれど、そうするとその集落の皆さんが住み難くなってしまいますし、それに、あそこなら物資の補給も問題なくできると思いますし」

「それしかないか。えっと、なんだっけ、狂った虫達の寝床、に錆びた未来都市、それと闇の立ちこめる平原、ね。根性据わってる人が統率してくれないととてもじゃないけどまともに本部機能しなくなりそうだなぁ」


 一通り話しを聞いてから僕は頬を掻いた。小さな紛争も放っておくと大きな争いごとに成りかねない。そうならないために、早いうちからそれを沈静化させる必要がある。だからその対応を迅速にするために対策本部をそのまさに渦中に置くことで実現させる。

多分、僕と一乗寺君が考えていたことはほとんど同じだと思う。しかしその渦中の現状が問題だ。何しろ、とことん大荒れに荒れている場所だ。ナスティフォレスト、PDPタウン、闇帝平原。この三つはこの大陸で一番治安の悪い地域であり、尚且つその地域は隣り合って存在しているのだ。

 ナスティフォレスト、汚い森。別にその名前がついているからといって汚物系のデジモンが住んでいる訳じゃない。あの森に住むのは、ほとんどが昆虫系のデジモンだ。それも単なる昆虫デジモンではない、大方が群れを成して互いに争い合い、非常に気性が荒い、そしてなにより数が半端でなく多い。まともな神経であの森を通り道にしようと考える生き物はそうはいない。場合によっては究極体だって近寄らないほどだ。

 PDPタウン、プログレッシブデジタルプログラムタウン。出来上がった当時は非常に進んだ技術で生み出された街だった。しかし、その進んだ技術が人々のつながりを消し、極端な抑圧による治安を生み出そうとしたために、返って反発した人々がそのシステムを崩壊させてしまった。結果、便利な反面とても危険な街となってしまった。人によってはそこをグリードタウン、つまり強欲の街とも呼ぶ。

 闇帝平原。闇の立ち込める平原。古い言い伝えには闇の生まれた場所、つまりデジドラモン誕生の地とも言われている。そこは毎日空を暗雲に覆われて、薄暗く、頻繁に嵐が起こる。それゆえ決闘や戦争の場として多くの争いがそこで行われ、あちこちにその跡が残っている。

当然そんな場所に住むデジモンなど居やしない。つまりはそういう危険な場所に身をおかなければならない人間やデジモンが居るのだ。率先していこうなんて思ってくれる人はそうは居ない。居たとしたって実力がないと送りだすことは出来ない。


「最初は八神さんに頼もうと思っていたんですけれど…」

「あ、そうなの?やっぱり創設時メンバー同士だし顔とか効くんだね。でも、まぁ無理だったんだよね」

「あ、はいそうです。こっちも大変ではありますけど向こうの比ではないですからね。それにやっぱり頼ってばかりでもいけませんし。それで、代わりに今一人暇なのに頼もうかと。彼なら僕以上に根性はあるしそれになにより僕等の特攻隊長ですから。紳さんも知っている奴ですよ」


 そう言って一乗寺君は珍しく口元をにっと吊り上げて、口調が軽くなった。あんまりこういう顔をする人じゃないからかなり親しい人間のことを言っているんだなって想像がついた。でも、一乗寺君との共通の知り合いはいないと思ったんだけど、どうなんだろう。というか誰なんだろう。知っている奴、は誰だろう。


「知っている奴?」


 思わず声にだして考えた。任務が任務なだけに立場や実力にかなり差がある人間を推薦するはずもないから、今現在でそこそこの地位やら力やらがある人のことだろう。でもあいにくながら下のほうに顔は広くてもあまり上の方の知り合いは僕には居ない。それでもって共通の知り合いっていうともう誰とも想像つかない。


「紳~アンタの元後輩のことでしょ。それくらい直ぐ考え付きなさいよ」


 ひとまず紅茶から持ってきたイノミヤがもう一度台所に向かう前にそう悪態をついた。後輩?で、一乗寺君の知り合い?イノミヤがそう言うってことはなんらか僕とリアルワールドで関わりある奴って事だ。とするとバスケ部の後輩が一番確率高そうだけど、でもバスケ部の人間がこっちの世界に通じてるのは知っている限りでは一人も見ていない。誰だろう。


「…大輔、ですよ。本宮大輔」

「えっ!ウッソ、マジで?あれ、あのサッカー部の脳天螺子ぶっ飛んだバカ大輔?」

「散々な言われ様のその大輔です」

「…重要ポストとか勤まるの?」

「冷静な人が一人付いていれば大丈夫だと思います。あれでも一応ちゃんと考えている奴ですから。ただ、性格が直進過ぎるところはありますけど」

「まぁ単なる考え無しとは思わないけど、へぇ~。大輔が一乗寺君と知り合いとはねぇ」

「同じ創設時のメンバーですから」

「えっ!ってことはだよ、つまり、あいつも選ばれし子供なの?」

「そうです。タッグを組んで戦うこともよくありますよ」

「はぁ~」


 急な話にかなり僕は驚いた。小学校の時おなじサッカークラブに所属してたあの大輔とは。ってことは僕が受験やらなんやらとやってた時にあいつはもうこっちの世界に居たわけだ。なんとも不思議な気分。後輩だと思ってた奴がこっちだと先輩だったとは。あいつバカだから一回もそんなこと言わなかったなぁ。でも、度胸があるってのは認める。あいつ程がむしゃらにプレイする奴いないし。


「ん~、変な気分だけど、一乗寺君が任せられるって言うなら大丈夫か」


 なんとなく妙に納得した。先陣きって人の前に立つのも下の奴に指示出すのもあいつ得意だったしね。アレでもうちょっと冷静だったらボランチに使えたのにな。でも、あいつにはフォワードが一番か。


「それでですね、実は紳さんに大輔の補佐をしてもらいたいと思うんですよ」

「ぅえっ!」


 三度目のビックリだ。最近ここまで驚いたことなんでないんじゃないのだろうか。よもやそんなことを頼まれるとは夢にも思ってなかった。
今までちょっとしたことのとりまとめみたいなことはしてきたけどきちんと上に立ってやるなんてことはなかった。それをやりたいと思ってきてた訳じゃないから別にそれでもいいと思っていた。

でも、どうしても僕が考えることを実現するにはもっと上の立場に立たないといけないってことも分かっていた。それがまさかこんな形で実現するかもしれないとは。僕は普段自分から主張をすることは少ないからそんなに意志が強い人間とは思われないけど、でも本当は自分でも結構頑固だって思っている。だからもしも実現するチャンスがあるなら飛びつきたいと思っていた。

けれど、僕にはそれを引き受けられない理由がある。一乗寺君にとって大切なものああるように僕にも大切なものがある。それを守るためにはどうしても。


「迷惑かもしれませんがお願いしても良いでしょうか?」

「その話なんだけどさ、少しわがまま言ってもいいかな?」

「なんですか?多少何か条件があっても問題はないですよ」

「あ、いや、そういうことじゃないんだ。その話も僕としては迷惑じゃなくて、全然大歓迎だけども、えっと、これから言おうとしたことの順番変っちゃうけど、いいか。実はさ、それよりも個人的な感情で優先させたい仕事が在るんだ……」


 丁度話を始めようとした時にイノミヤがクッキーを持ってきた。イノミヤが僕の分の紅茶だけちゃんと持ってきてないことを確認した僕は折角なので勝手にクッキーの皿に手を伸ばして、ひとつパクついてから話し始めた。









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 僕が今のうちにこの目の前の扉を開けてここの支部長、一乗寺賢君に話してしまいたいこと。

一つ目、ファイル島の復興作業指示には一体誰を充てるのかということと、その人を選ぶ理由つまり経験実績及び能力と人格。これをしっかりと把握しておかなければ、僕個人としてはあの島の為に良くないと思う。

島全体の雰囲気がかなり悪い状態だし、それの所為でデジモン達のちょっとした暴走があちこちで起こっているらしいから下手な人を送ってそれを刺激してしまうのは好ましくない。ただでさえ、…結花さんのことがあるから今僕等は信用を失っているのだからこれ以上不信の感情を募らせてしまうと本格的な崩壊が起こってしまう。

上層部(うえ)の人々は何も分かっていやしないから、主要都市もないあんな田舎の島がどうにかなろうと知ったことじゃないと思っているのだろうけども、あの島の人々にしてみたらとんでもない話だ。それにもう一つ上層部が忘れていることがある。大した事のない言い伝えだけど、僕はこう聞いたことがある「天地創造の刻(とき)始まりは先ず島だった」と。

それがどういう事なのかは創設時のQDCメンバーしか知らないのだけれどなんとなくあの島はこの世界にとって非常に大切な意味を持ってるんじゃないかって思うんだ。それに、僕がこの世界に飛ばされて始めに行き着いた場所もあの場所。だからそういう意味でも僕はあの場所を廃れさせてしまいたくない。そういう感情が働いてるね。個人的な事だけど。

 二つ目、敵にいる人間、テイマーは一体どのくらいの人数になるのか。まさか結花さん一人だけってこともないと思う。少なくともデジモンよりも扱いやすい脆弱な駒として使われてることに気付いていない人々が何人もいる筈だ。

今になって調べた情報で、ファイル島でのあの事件の日、死んでしまった人に比べて生死不明のテイマーが少し大目なのが気に掛かる。圧倒的な力で消滅させられるくらいの死に方をしたのだったら残留データのサーチでは引っ掛からないし、敵のあの強さから考えてそれも十分ありえるから二、三人いることは納得できるけど、それよりも明らかに人数が多い。

生きていたなら今たったの一人も発見されてないのはおかしい、普通島の中にいれば誰かに助けを求めている筈だし、死んだ場合だって残留データは絶対にその場に残る筈なんだ。一度海に流されて途中で事切れたということもあるかもしれないけれど、その人数が二桁なんてことは在り得ないはず、状況が不自然過ぎる。…だから、自分でも考えたくない事ではあるけど、あの力差があって、それで生きて別の場所にいるってことは、命乞いをして捕虜になったのかもしれないし、場合によっては結花さんの様に元々向こうの立場の人間だったのかもしれない。

結局のところ彼らが戦っている場面に遭遇した目撃者は一人もいないし。あの島は上層部が気に掛けないくらい重要なものを何一つ置いていないからそれ故に敵が隠れるにはもってこいの場所だった。

 この考えは単純に僕が彼等に生きていて欲しいって思ってるから生まれたところも、ある。僕は人の顔や名前を覚えるのが得意だから、今でも名簿無しに全員の顔と名前を言い当てることが出来る。もし元より敵だったとしてそれで被害が出たということは許されることじゃないけど、それでも敵の捕虜として生きている、せめてそう在ってくれた方が嬉しい。非常に個人的な意見だけども。

 三つ目、この近隣で最近増加しているデジモン同士の小さな紛争の今後の対処の方針。今一番直に対処を決めなければならないことだ。

 この問題は思った以上に深刻だと僕は思っている。単純の今の時期にそういうことが多いとかそういったことじゃなくて、明らかに僕が以前ここに居た時よりもその数が多いことが問題なんだ。過去から順を追ってデータを調べてみたけど、それは明らかに日ごと月ごとに増加している。全体的に秩序が乱れている。

でもそれなのに取り分けその増加になにか象徴的なものがあるわけでもはっきりとした原因があるわけでもない。一見何も変化がない中に確かにそういう数値だけが上昇している。ある意味では一番異常な状態だ。状況が悪くなるのに原因がつかめない。まるで新種で治療法の見つからない病気みたいじゃないか。

それなのに上層部は相変わらずただ支部の判断に任せるだけで何も近隣と提携したりデジモン達の説得や交渉のための人員を派遣することがない。少し事が大きくなれば部隊を送って武力で沈静させるだけ。平和と秩序を保つための機関であるQDCが武力でしか物事を処理できないんじゃ本末転倒もいいとこだ。

 でも、上層部の考えていることは分かる。多分、今よりももっとこの世界に支配的な存在として君臨しようとしているんだ。僕がここに所属した時とは目に見えて向かう道が違っている。創設時のメンバーに食いつくように今の上層部がここの勢力を少しずつ得るようになってから変わったんだと思う。目指しているところはきっと一緒だと思う。

人々が互いに争わないように世界を導くこと。…でもこんなに押し付けたようなやり方じゃ絶対にどこかでおかしくなる。人の上に立つなら間違ったやり方じゃいけない。父さんはそうだったからいけなかったんだ。…いや、止めよう。

同じ事を何度もループさせて考えても仕方ないし。兎も角上層部がダメなら創設時メンバーの一乗寺君ならいい意見を出してくれそうだから、その辺り聞いておこうかなと思う。僕も全くそれを考えていないわけじゃないけれど、今は身近なことが色々で少し考えがまとまらない。

 四つ目…は、僕として言うべきか少し悩むところだ。もしかしたら自分の中だけで仕舞っておいた方がいいのかもしれない。紫苑が使っている違法進化、つまり暗黒進化。この際だからなんでそれを使えるのかってことは気にしないことにする。それを紫苑が使ってるということはつまりどういうことを指すのか。いつその力を手に入れたのか。場合によっては結花さんのような存在にも成り得てしまうんじゃないか。ということ。

 一応これは内密の事ってなってるけど、僕は一乗寺君がかつて闇の力を使っていたということを知っている。大量のデジモンを従える術を持っていて、進化の力も意のままに操ってた、というか状況としては逆に彼の方がその力に使われていたのだろうけれど、そういう状態を克服した彼なら何か紫苑のその力について色々と分かるんじゃないかと僕は思っている。

しかし、それは同時に彼がその力の危険性について大いに知っていることになるから、紫苑に対して好感を持っていない彼にそれを伝えるのはどうかなとも思う。もしかしたら紫苑のそういう雰囲気を感じ取って彼は紫苑を嫌悪してるのかもしれない。でも、多分それがはっきりと分かるのは彼だけであるというのも事実だ。…はぁ、なんだか面倒なことばかり考えさせられているな。そういう星の元で生まれているのかもしれないね。

 結局のところ考えても埒が明かないから、勢い任せに僕は支部室のドアの脇に設置してあるデータ認識装置に自分のデジヴァイスを近づけた。赤いランプが緑に変わってそれを知らせる機械の信号音らしいピーンという音がした。それからマイク部分に口を近づけてた。とりあえず出来るだけ丁寧な口調を心掛けた。


「失礼します佐川紳です。支部長、今御時間あるでしょうか?」


 暫く沈黙が続く。そりゃあ支部長ともなれば色々と忙しいだろう。ということにしておこう。別に僕は中で何をしていようと気にするつもりはない。


「お待たせしました。じゃあ鍵開けますのでどうぞ」


 相変わらず良く澄んでいる声だ。さて、何をしてたのやら。気にするつもりはないなんて思いながらね、結局少し僕は野次馬的な気持ちでドアを開けた。


「どうも。こないだの単独遠征はお疲れです」

「いえ、普通の仕事ですから。それより紳さん、仕事の一部を代わっていただいてすみませんでした」

「いやいや、どうせ大した事やってる訳じゃないし。今後何かあったらまた代わるから。このところ忙しくなりそうだしね」


 絵に描いたような応接間のセットの中の椅子に一乗寺君は座って、パソコンをいじっているところだった。なんだ、予想していたものは見られなかったなと、思ったその時、にわかに大きな声が支部長室に繋がっている隣の部屋から聞こえた。


「紳、あんた何さっきの変な話し方。あんた気持ち悪いわよ」

「一応記録にも残るし丁寧なフリはしといた方がいいでしょ。っていうかイノミヤいたんだ。まぁそろそろそういう日だなって思ってたけど」

「うっさいわね、何か文句あるの?」

「まぁまぁ京さん」

「賢君は優し過ぎるの。あいつのは僻(ひが)みなんだから」


 説明を忘れていたけれど、支部長は本来殆どこの部屋で用事を過ごすから基本的な生活が送れるだけの設備はそろっていた。娯楽設備は持ち込めばいいし、それなら後は寝床と冷蔵庫だけあれば十分とも思うけれどもなんでかここには台所もきっちり設置されていて、イノミヤ、とは僕だけがする呼称で、その本名を井ノ上京という奴がそこからわざわざ僕を馬鹿にするためだけに現れたんだ。

またの名をグレートマザー京―――これは本当に陰で言われてる呼び名だ―――といって、ディレクトリ大陸東方第一支部、情報処理の総本山とも言われているこの場所で副支部長を務めている機械モノについてなら卓越した能力を持った女の子だ。


「分かったよ、もう勝手に乳繰り合ってればいいじゃない」

「うっさいっつってんの。もういいわよ、そんなに見せびらかされたいなら存分に見せびらかされるがいいわ」


 イノミヤは強烈に一乗寺君に抱きついて椅子から無理やり立たせて自分の方に引き寄せる。一方の一乗寺君は当然嫌そうな表情ではないもののちょっと困惑気味の目線を此方に送ってきている。もとよりこの調子だってのは知ってるから今更慣れたものだけれど一乗寺君の方は公然的にそれをやるのは嫌らしく相変わらず公共性を重視するか相手を重視するか迷っているみたいだ。

といって助けを求めるような目をされても、そんなもの僕が知ったことではないし、話に聞いたことはあってもこの光景を見るのはそんなに数多くないから止めろというのも無理な話だ。というかある程度幸せなんだからそのぐらい我慢してほしいもんだ。…まぁ、僻みなんだけどさ。


「あ、京さん、やかんお湯沸きますよ」

「…賢君のケチ」

「…すみません」

「イノミヤが常識ないだけでしょ」

「あんたうっさいよ!」

「いいから火止めてきてよ…。あ、僕ダージリンあればそれで」

「あんたの分なんかないわよ」

「カップを一つ多く出すだけでしょうに」


 見ての通り、そして聞いての通り、イノミヤと一乗寺君は付き合っている。そして僕とイノミヤは小学校の時に同じクラスになってからずっとこんな関係だ。中学で一度分かれてそれからこの世界でもう一度再会してもまだ同じ関係だ。


「じゃあ本題にそろそろ本題に移ってもいいかな」

「あ、はい。どうぞ」

「賢君クッキー食べる?」

「あ、お願いします」

「僕も…」

「あんたの分はない」

「やっぱりなんだ」


なんだか緊張感のないスタートだ。相変わらずいるだけで気が抜ける奴だ。

イノミヤが台所に紅茶の用意をしにいったところで僕は話を始めた。頭はいいくせにあいつが居るといつも話が進まない。








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 火はパチパチと文字通り木目を象っていた枝の内部を分離させて弾ける音を立てながら木を燃やしていた。火はただ無秩序に燃えている訳ではない。燃えやすい枯葉を中心に徐々に枝を焼いていきそして火が消え難い太い薪に燃え移っていく。

キャンプファイアーをする時のように薪は縦横バランスよく順に積まれている。それをこの火を燃やしている人間の気質によるものなのだろうか、分からないうちに組まれた木の中に入っていた燃えた枝と細めに作られた薪が形を保てなくなって崩れた。

 重い砂の混じった風が吹く荒野。グランドキャニオンのように少し進むと切り立った崖の下には緩い川とその周りを囲む森が広がっていてここは台地になっていた。下に広がる森はいくつかの箇所に焼けたような跡があり、それまでに繰り広げられていた戦いの激しさを示すかのようであった。

罅割れ乾いている地面の上で空から降る那由多の星々の光を遮る明かりは今はここにある炎だけとなっていた。その炎に火掻き棒が差し込まれ中をガラガラと弄った。そして綺麗に秩序を持って組まれた火の付いた薪は思い切り蹴飛ばされて火の粉と炎を撒き散らし空中で踊り狂った。そしてそれを蹴り上げた人間も踊り狂っていた。

 こんなにも人気のない場所にも拘らず夕暮れの日が落ちた瞬間からこの場所は静寂に包まれた瞬間がなかった。それはくすんだビリジアンの掛かったブルーのかなり細身のジーンズにブラウンのごつごつとしたベルトが大量に巻き付いているブーツに単色ブラックのボタンシャツの袖を捲らないまま着て、夏とはいえ夜には秋ほどに冷えるこの荒野の上で何を羽織ることもなくその人間は踊り狂ったように歌っていた所為だった。

かなり状態の良いクリムゾンのレスポールギターを抱えその背が高いというよりは長いと形容した方がぴったりと来る体躯と細い腕からは想像つかないような激しく流麗なプレイで啼かせながら自分も声を響かせていた。高くキンキンと響く針のような声でただひたすら叫び踊っていた。

何処から電源を得ているのか、それでも活動しているかなり本格的な大きなアンプに繋がれていることすら分からないかのように縦横無尽に暴れつくしその挙句に薪を蹴り上げては炎を撒き散らしてまでいた。

 ギャリンと艶めいたディストーションの掛かったギターはもしかしたら荒野中に聞こえていたかもしれない。全身で全力で掻き鳴らしたそれはまさしくロックンロールと言うに相応しく金髪を振り乱して歌うその人間の姿はまさにロックンローラーだった。

驚異的な咆哮が彼をデジモンと言われても納得してしまうほど圧力を秘めたものだった。技術云々が素晴らしいものという訳ではないが間近に見る人を圧倒することは出来ただろう。

 その人間は見ればまだ幼い顔をしていた。顔には数ヶ月の末にようやく蓄えたようなひょろっとした髭を生やして凡の窪をほんの少し越した程度の長さの金髪は軽くカールしていて、こうも激しくギターを掻き鳴らしていなければかなりなよなよとした印象を与えそうな風貌はどう見ても二十歳を越すものとは思えなかった。

それどころか彼の眼が青いことも想定して考えれば、日本人の目に見える姿よりも大分若いものと思われるだろう。それらを相互に考え判断するにおよそ十五、六歳なのではないだろうか。

 どんな世界にも等しく音楽は娯楽やもしくは宗教的なものを秘めて必ず存在している。彼の演奏する姿は正しくそういったものを髣髴とさせた。ひょっとしたらこの見慣れない光景に心を惹かれたデジモンは居たかもしれないが、生憎こんな食物のない高所に住むことに固執して離れることを拒むような偏屈なデジモンは岩石を組み立てような形をしたゴツモンの類の種族しかおらず、そういったゴツモン種はこの時間帯には既に休息の時間に入っていて、身体の硬さ並に寝起きの悪い彼らは深い狭いところに隠れて寝ているため結果的に今この演奏を聞いているデジモンは誰一人として居らず実際にそのようなことが起こることは無かった。

 金髪の少年は尚も演奏を続けた。いつまで続けるのか、果てしなく続くそれを一向にやめようとしない少年は恍惚とした表情のままギターに指を走らせ続けていた。散々蹴り飛ばされたお陰ですっかり散り散りの灯し火となってしまった下は焚き火だったものは勢いの無いものから順に演奏の音の圧力に押し負かされたかのように消えていった。火が消えると高所らしいそこそこの冷え込みを感じさせたが、少年は歯牙にも掛けず寧ろ暑くなったのかシャツを脱いでよりパワフルに演奏を再開した。

 そんな演奏の爆音の中にさも何も聞こえないかのように平然と当然のように入って来るデジモンがいた。そのデジモンは散らばった焚き木を集め新たに集めたらしい木を脇に下ろし今まだ火の付いている木から余っていた小枝や草などに火を映して再び元のような焚き火を作り出した。

 デジモンは腰を下ろすと極平気な顔をして何処から調達してきたのか、最近の漫画でも滅多にお目にかかれないような絵に描いたような肉の塊を炙る形にするために上手く木や石を組み立てた上に乗せて焼き始めた。デジモンは暫くその様子や周囲の気配を伺っていたようだったが、直ぐに火の横に寝転んで少年が演奏する様子を見るとも無く見ていた。

 火は静かにデジモンの脇で燃えていた。少年の演奏には無関心で時折パチパチと音を立て肉の塊から油が滴る度にじゅっと強い匂いを伴って一瞬だけ勢いが増しまた静まっていく。

デジモンは炎の中に棒、いや形状は単なる棒というよりは刀、つまり木刀を突っ込んで掻き混ぜた。それが棒に見えたのは恐らく造りが粗く自然から削りだしたような佇まいが原因だろう。

特に意識しての行動でもなかったのか長いこと突っ込んでいたその木刀の先に僅かに火が移っていた。それが何か癪に障ったのか飛び起きて木刀を振るうと寧ろ風を送ってより火が大きくなる結果となった。デジモンはイラ付きながら木刀を地面に叩きつけて火を消すとデジモンはより猛りもう一本木刀を納めていた腰から抜き放ち両方とも思い切り地面に叩き付けた。


「ヘイ、ヤシャモン、いいリズムじゃないか、暇ならそのまま太鼓を貰えるかい?」


 すると漸く少年の方がデジモンに声を掛けた。音を抑え気味にしたとはいえ相変わらず手は動かしたまま。

 そのデジモンは、先刻この荒れた台地の下に広がる森で炎を纏ったデジモン達と激戦を繰り広げたヤシャモンだった。特徴的ないぶし銀なテノールの声がそれを物語っている。多数のデジモンを一人で一掃するという驚異的な力を発揮しながらすぐさまその場を離脱していたヤシャモンはしかし遠くへ去った訳ではなくその場の様子の伺えるこの台地で密かに事の経過を見計らっていたのだ。


「暇であるのは主が弦楽を弄んでいるからだ。拙の仕事はもう終えた」

「オーライ、でもそれは後で良いだろ。今は取り敢えず楽しもうじゃないか。ビールはあるかい?」


 少年が始めてギターの手を休めて、ヤシャモンの方を向いた。ヤシャモンは少年に見据えられて溜息を漏らした。この世界ではトランクの代わりともなるデジヴァイスのスイッチを押すが、NO,DATEとホログラム化された液晶画面に表示されるだけで、そのデータバンクの中には何もないことを示した。少年の手はビールの缶を振るようなしぐさをしていた。しかし何も無いことが分かって肩を竦めた。


「何を言うか。その質問は七日前もしたし、拙はそれにとうの昔にほぼ主が飲み尽くしたと返答致したぞ」

「そいつは、悪かったね。でも、そうだな、じゃぁブランデーは?ウィスキーは?他のやつは?」


 追い討つように言い放たれたヤシャモンの言葉に動じずに尚も酒の類を求める少年。ヤシャモンは既に呆れ気味だった。


「須らく飲み尽くした。二人で三日で一度とはいえ一度に二升三升。それでは二週と持たずに瓶が空になるというものよ。全く、未だに拙には主が十七とは信じられぬ」

「オーライ、言いたいことは分かったよ。でも、いーちこ。あれはまだ取っておいたろ?
…二本、多分残ってると思うんだけど?」

「…呆れた辛党であるな」

「折角だし、飲もうよ。こんなにサイコーな夜は滅多にお目にかかれるもんじゃないぜ」

「そういうのであれば拙も一献傾けさせて貰おうか」


 ふてくされているような声のわりにヤシャモンの顔は印象よりも柔和だった。それはその少年がそうさせているのか、単純にそういった呆れ顔なのか判断しかねるところではあるが、戦場に現れた時よりも大分穏やかに見えた。いや、寧ろ本来がこのような顔をしているのかもしれないが。


「次はそろそろナスティフォレストだろ?あのクソったれの森を抜けてからまた荒野を少し進んで漸くPDPタウンだ。それまでどうせ飲む暇も余裕もないしね」


 ヤシャモンがまたボタンを押すと成人者といくらかの未成年者には馴染みのある酒瓶がデジヴァイスから発せられる光に乗って地面の上に具現化した。ヤシャモンはその瓶の片方を少年に投げ遣ると自分はもう一本をさっさと開けて炙っていた肉を貪りながら一気に飲み始めた。


「ヤシャモン、休みはないよ。リズムセクションがいい音くれないと締まらないからね」

「心得ている。叩きものの大よその手ほどきは受けている」

「とか言ってドラムは叩けないんだろ?」

「…叩く必要がないだけだ」


 ヤシャモンは二本の木刀を地面に突き刺すと手でなにやら印を作り呪文らしきものを唱えた。少年は酒瓶をラッパしながらその様子を眺めていた。どうやらこういったことは二回目三回目ということでもないらしい。慣れた素振りで地面に手を翳すヤシャモンを見て少年は酒瓶を地面に置いた。

ヤシャモンの足元からはやや大きめの二個の丸い台座のような岩がせりあがってきた。少年はポケットからピックを取り出す。ヤシャモンは再び酒を口にすると刺した木刀を抜き取りその岩を叩き始めた。どういった原理かそれは元が岩だったとは思えないほど乾いた澄んだ音を大気中に広げた。


「エル、準備は整った」

「オーライ、いこうか。One, Two, let’s play rock’n’roll!!」


 再び夜の荒野に爆音が響き渡った。決して陽気と言える音ではなかったが、輝くような音がそこには存在していた。

 酒瓶は二本とも既に半分ほどの量までは減らされていた。












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バイトした先でちょっとむかついた。相手は寝起きで機嫌が悪かったんだかなんだか知らんが久々に殴ってやろうかと思った。無論思うだけで実際に殴りはしない。大体いっつも思うだけ。だって自分の立場が悪くなるだけって知ってるから。どうにも利己主義だからキレるって事はわしあんまりない。そういう風に見えてもどこかで利になるかならんか考えている。

バイトの給料が入ったので久々に病院にいってその次の日に病院行けよと言っていたバイトの先輩と休憩中話をした。久々に言ったせいでやっぱり結構な金がかかってその愚痴を言った。そういうつもりだった。でも野郎は事もあろうかこんなことを言いやがった。

「金がかかるのは当たり前だろ。うちは接客業だから咳ばっかされても困るんだよ」

なんだそりゃ。別に咳ばっかしてたら客に失礼って事には同意する。客商売だから自分の身なりやら中身やらにも気を使うのは当然だ。

だが、当たり前ってなんだ。金がかかって当たり前って。別に病院にいったのはバイトのためでもなんでもなく単に自分の為。発作が続くと行動できなくなるから。行くのは当たり前だ。金なくていけなかったけど。だが金がかかるのが当たり前ってなんだ。バイトの為に金をかけないかんって言ってんのか?なんも知らんくせに言うなよ。

はっきり言ってこういう物言いは久しぶり。高校以来。なんでどいつもこいつも現代的な奴は発想が成長したとしてもその基本が高校レベルなのだか分からない。どいつもこいつもそこで目にした奴と大して変わらない。多少の遠慮やらなんやら社会人的なものを身に着けててもやっぱり同じ。金がかかって当たり前とか、咳をするなとか痰を出すなとか。

死ねっていってんのかアンタは?例え給料の全額かかってもバイトの為にお金を掛けろってか。ふざけんな。

金がかかったのは久々で本来払う分とは別の諸々が掛かっただけ。喘息なんて定期的にいけりゃフルタイドとか吸入薬一ヶ月分とかでせいぜい掛かっても2000円程度。全然ましな方だ。

だがお前それを白血病とか心臓病とか(種類が色々あるからそういう言い方でまとめて言うのはよくないが細かく書くと面倒なので割愛)定期的にいかにゃならんもんでもっと金のかかるもんはいっぱいある。腎臓病で透析とか受けたら確実に毎日何時間も掛かる場合だってあんだしそれを当たり前とか他人が言って良いと思ってんのか?じゃあやってみろ。

お前それは病気になってる奴は搾取されて当たり前とか言ってるって事だぞ。わしはそういうのを仕方ないとすらも言ってはいかんくらいに思ってる。だって仕方ないですまないもん。健康で悩みのない人々と比べて毎月使える金と時間が減るんだぞ。へたすりゃバイトにもいけなくなって収入がなくなるんだぞ。それを知らん奴が一言ですますな。言い方が分からないなら黙ってろ。わしにとって病院にいくのは当たり前の事だが他人に当たり前とか言われたかない。お前は金がかかって当然なんだよって言ってんじゃねぇよ。当然じゃねぇよ、病気がなかったら当然じゃねぇんだよ。でもあるから行ってるだけでそれが普通って訳じゃねぇんだよ。

インフルエンザだからタミフル飲んで死ぬ可能性もあるのが当然とか言うのか?タミフルもおっつかないで死にそうになってる子供を見たことあるのか?その子にいえるか?割とタイムリーだし誰にでも可能性があるからあげたが死んで当然じゃねぇだろ。タミフルがなんでああなってるとかはあんまり知らないから言及できんが。それでタミフルが悪いとか政府が悪いとかは言うなよ。コレがなかったら弱い子は死んじゃうんだから。だから早めに解明してくれると助かるんだがな。

別に病気をハンデに思うことは今更ないがね、勝手にハンデだって決めてんじゃねぇよ。どう思うかはわし次第だろ。自分しだいやろ。言葉がどういう時にどういう性質を持つかくらい理解しておけよ。難しいことじゃないよ。相手の立場をちょっと考えるだけで分かるだろ。そんな簡単なことも出来ないで仕事を誇りに思ってんだか知らんが押し付けんな。自分が誇りを持つのはいいことだが他人に強要するな。仕事としてこなせば問題ないんだろ?

だから一般常識があるとか誇りがあるとか自分で思ってる、妄信してる奴は嫌いなんだよ。自分の領分の中で言う分には重みがあるけどちょっと外れると人を貶めるだけの阿呆に成り下がる。んで、他人と付き合う事の大半は半分以上自分の領分から出た付き合いをするって事だろ。自分は一般的に見て正しいと思ってる奴ってのはわしからしたら性質悪い。一般常識なんてイレギュラーの蔓延る世の中じゃ糞の役にも立たねぇよ。それでも一般常識を持とうとする人は凄いと思うけどね。
これも孔明シリーズ。こんなに自作マリオがあったとは知らなんだ。
ってことでバロスと孔明自重wwの容易を。

しかし動画を載せる方法を知ったとたんにネタ埋めしすぎだなわし。



http://www.nicovideo.jp/watch/sm5726


ちょ動、今回は自作改造マリオ。バグばっかでとにかく中がふざけた外道版と難しさが外道な外道版(王道?そんなもの改造物にあるわけないだろw)のどちらかで構成されているシリーズですが今回は、というか基本バグありきの動画はあんまりおもろなかったのであげません。ってことで難しさマックスのマリオを課長on。有野では絶対クリアできん。ちなみに孔明の意味は動画をみりゃ分かる。初っ端から吹くこと請け合い。そして更に鬼畜www



http://www.nicovideo.jp/watch/sm117828
所謂逆再生ブームに乗った(ってかはしりか。それも王道)うわさのあいつを連れてきました。ショップ99の曲を逆再生してみた奴です。やっぱり逆再生シリーズはおもろい。
なんかニコニコで連続してあげちまったのでその流れでやっぱりニコニコで。もうコメントも楽しめこのやろう。

ただひたすらウォッシュな展開が待ってます。吹いたら負け。







http://www.nicovideo.jp/watch/sm146318
ちょっと動画をあげてみようのコーナー。分かりやすく短縮してサブタイ毎回つけることにした。今回は猫動画。割と有名でしょうかなただただ猫が眠るのを見るんだがその眠り方が…
ってことで見てちょ。

これはコメント別に見んでもいいからようつべの方あげようかと思ったがあっちは全体的に画質が低いからなぁ。ステ6が繁栄したらそれをあげるんだが。まぁ取り敢えずただひたすら癒されろ。








http://www.nicovideo.jp/watch/am32713
趣味である。わしがたまにあげるガングレイ、そのEDなのだが、本編との内容の対比でなんだか凄く切なかったり悲しかったり熱かったりする。黒田脚本随一の熱さと男臭さを感じるアニメ。ちなみに歌はScoobie Do の「茜色が燃えるとき」本編を見ながら見たら感動するんだこれが。




http://www.nicovideo.jp/watch/sm13940







「こらっ、下手に動くな。機動性はそっちの方が上なんだから直線的な攻撃はするんじゃない!」

「はい。ファングモン、ライトシフト、アタックファースト、アンドリターン!」


整地された広い訓練用の広場の砂を巻き上げ、お腹が白い毛で他が殆ど赤い毛に覆われているファングモンが極端に細いボディとベルトに包まれた前後の足を駆使してブイドラモンの周りを右回りに回り込む。ブイドラモンがファングモンの姿を捕捉仕切れなくなったところで口から目には見えない音波を衝撃にして発する。


「後方左五十六度!」

 僕の指示に反応してブイドラモンは振り向きざま狙い済ましたようにファングモン目掛けて爪から発生する真空波を放った。狙い通りそれはファングモンの真正面を捉えた。ファングモンの放った衝撃波はそれにより打ち砕かれたけれど、ファングモンはそれより早く回避していたためその攻撃を喰らうことは無かった。


「ワンステップアウト、アンドアタックセカンド!」

「二、五秒後正面に手刀で攻撃だ」


 ブイドラモンが続けて放った無指示の爪からの真空波を回避してファングモンは身を伏せるようにして地面に爪を突き立てて力を溜めた。そして尻尾がぐるんと回るとまるで瞬間移動でもしたかのように一瞬にしてブイドラモンの懐まで飛び掛った。しかし健闘虚しく、あえなくブイドラモンの鋭い手刀の餌食となった。


「よしよし。なかなかタイムラグが少なくなってきたね。それに狙いもなかなかいいところを突いてる。後もーう少しトリッキーな動きが出来れば得意の直線攻撃も活きるかな?」


 ディレクトリ大陸東方第三支部の期待のエースと言われているファングモンをパートナーに持つスピード攻撃が得意なサッカー少年齋藤善貴(さいとうよしき)君に訓練戦の感想を述べると置いておいたスポーツドリンクの残りを一気に飲み干した。みると義貴君は笑ってファングモンの頭を撫でていた。なかなか素直な教え甲斐のある子というか、逆に吸収力が良い方だから教えているこっちとしてはなんだか切ない気もするけど。

 十回程連続して練習戦をやってみたけれど、やっぱり戦闘は神経を使うし疲れる。一般的に素人はテイマーを「ただ指示を出すだけの人間」と思いがちだけどそんなのはとんでもない思い違いだ。的確な指示を出すには敵の攻撃に注意しながら程々に近い戦況が見やすい位置にいなければいけない。それもリングの様に一定の場所で戦う訳ではない、あちらこちらに戦場は移動する。それを追いながら全てをこなす。デジモンと比べたら儚い人間の体力で。


「義貴君、僕はちょっとこれからよるところが在るから先に戦況データ提出して休んでていいよ」

「はい分かりました」


 本当に小五とは思えないいい子だ。どこかの誰かと違うなぁ。


「ブイドラモン、第二闘技場の方、行こうか」

「そうスね」


 ブイドラモンを促して、リュックをざっと手にかけて中からタオルを取り出して髪の毛を拭きながら第二闘技場の方へ僕は歩き出した。第二闘技場はこの第三グラウンドから一番近い闘技場で、QDCメンバーが寝泊りする宿舎を回って途中のメインドーム―――といっても別に何が在るわけでもなく単なる巨大な仕事場で、ドーム状に作られたからそう呼ばれているってだけ―――を抜けて三つ並んである闘技場の真ん中の闘技場だ。紫苑は最近いつもそこでゴマモンと共に訓練をしている。

 ファイル島での出来事からかれこれもう二週間が経っていた。
あの後紫苑の元に向かっていた僕等は辿り着いたビートランドで敵が…結花さんの指示したデジモンが起こしたであろう惨事を目の当たりにした。逃げたのか、それとも、死んでしまったのか、QDCのファイル島支部は僅かなデータ屑を残して消滅してしまっていた。

その後に現れた僕等を助けてくれた救援のQDCメンバーが発見できたのは、たった二名のQDCメンバーと十体のデジモンとミハラシ台に倒れていた紫苑君とゴマモンだけだった。紫苑とゴマモンと僕等以外に救出された人とデジモン達はそれぞれまだパートナーの見つかっていない人たちだったため一番に逃がされた者達だった。つまり、果敢にも敵に向かっていった者は紫苑とゴマモン以外誰もいないことになる。

保護された僕等は元々僕が所属していたディレクトリ大陸東方第三支部に一時避難することになった。ファイル島に一番近いディレクトリ東方支部の中で一番防衛システムに優れていることと、それでも大きな戦闘の回数が少ないという安定した治安が避難地に選ばれた理由だ。でも僕が一番感謝したのはメディカルケアの状態が整っていることだ。

こういった事件に関わった場合は是非に関わらず必ず事情聴取を受ける。そういったことに慣れている僕や、元々横柄で面倒を面倒とも思わない紫苑君や、紫苑君に会ったことでなんだか大分満足げな葉月ちゃん―――まぁ、惨劇をリアルタイムで見てないことも影響して―――もそれほど苦であった訳ではないけれど、同じ土地の仲間を失った残りの十二名の心の傷はそれに耐えられるほど浅くは無い筈。

だから、僕的にはそういうのを見ていられないから、事情聴取を少し先延ばしにして心の安定を図る、それに本来なら少ない人数でおくる筈だった葬式なんかもこの支部のQDC全員で集まってしてもらったりとか、そういった対応が快かった。結花さんをどうにも出来なかった僕にはちょっと、言えることが何も無いから。紫苑みたいに気にしながらも何も言わずに傍観してられる強い精神は僕には、無い。

ここの支部の支部長は一乗寺(いちじょうじ)賢(けん)という人で、実は僕のいっこ下、紫苑と同じ中学二年生だ。この歳で指揮者になるのは相応に凄いことだけど、それだけでなくて彼はQDC創成期のテイマーであるらしい。俗に言う選ばれし子供とかいうやつだ。

それである上に創設以前にも大分長い間テイマーだったということもあって、実力も優れている。彼は低い物腰のわりに眼光が紫苑のそれに少し似ている気がする。詳しく話を聞いたことは無いいけれど、きっと色々とあったのだろうと想像が付く。そういう目だ。

でも彼は紫苑とどうも相性が悪いらしい。それがこの二週間でわかった。理由はよく分からないけれど、紫苑を始めてみた時のあの愕然とした目や、紫苑に支部室への入室を許可しなかったりするという対応からも分かる。紫苑はいつものことだと言っていたけれど、彼は理由無く人を分け隔てるというタイプに見えないから、どこかそれが不自然なことのように思えた。そのうち色々聞いてみることにしようかな。

紫苑は敵に砕かれたという足にギプスをはめて、黒いジーンズに上を何も着ない状態でタオルを羽織って椅子に腰掛け、細いフレームで楕円形の眼鏡を掛けて本を読んでいた。この目つきの鋭さで目が悪いっていうのはちょっとあんまり考えられない。普段は裸眼で過ごしているらしいし。でもやっぱりこれだけ眼鏡が似合うとか似合わないとか抜きに不自然に思えるのは紫苑だけなんだろうね、きっと。

で、どうやら自分自身の訓練は休憩中のようで、いつものように見る度に新しいに本に代わっている、かなりのハイペースで本を読んでいた。といっても速読と言う程ではない。ノックもしないで静かに開けたドアの隙間からそんな様子を眺めた。


「君の眼鏡姿はいつみても不思議な感じがするよ」

「長いこと活字ばっか見てるとこんな風になるんだよ、うるせぇな。見る度馬鹿にしてくんな」


 紫苑はそういうと本を置いて残った汗を拭いて立ち上がって僕の方に向かってきた。片足を引き摺っているところを見るとまだ完治してはいないように思えるけれども、僕はその行為にとっくの昔に嘘を感じていた。


「今日もまた何しに来た。お前の説教なら聞かねぇぞ」

「君が勝手にそう受け取ってるだけでしょ。僕は僕なりに考えて物を言ってるだけ。それに今日はちょっと寄ってみただけだよ。たんなる様子見」

「嘘くっせぇ」

「お互い様。と、葉月ちゃんいる?」

「そこでアクスモンの動きについていけてない鈍臭い女が葉月に見えねぇんなら眼科かもしくは精神科をお勧めするがどうだ?」

「ハイハイ、分かりました」


 相変わらずの嫌味な対応に早々と僕は身を引いた。葉月ちゃんは自分で言い出した通りに自分を鍛えていて、アクスモンとゴマモンが戦っているのを必死に目で、身体で追っている。テイマーの何よりの基本はパートナーの動きについていけること。多分それは紫苑が指示したんだと思うけど、でも嫌がらずそう考えて訓練できるというのは偉いことだと思う。

 やっぱり葉月ちゃんにとって何も出来なかったというのは相当辛いことだったんだろうね。紫苑や僕がそうじゃない、って諭したりもしたけどでもやっぱり今回の事件の発端は自分にあるって少し思っているみたいだ。

 そもそも、始めから葉月ちゃんを捕らえるつもりでいたと思う結花さんは他に何か問題が起こったとしてもきっと葉月ちゃんを捕らえただろう。多分、僕が以外にも襲ってきた時に抵抗できてしまったとしても、そしたら自分自身で僕を倒しに来たと思うし。それにまだ初心者のテイマーだから何も抵抗できなくてもしかたないって思うけど、でもやっぱり多くの命が亡くなっているのを考えると迂闊な慰め方は、ちょっと出来ない。

 結花さんは今どうしてるんだろう。僕が心配することでもないんだけどさ。でも、気になる。上手くやっていけてるのかなって考えてもでも上手くやってるってことはこっちとしては困ることだから駄目なんだけど、でもこうなんかどこか結花さんが満たされていることがあればいいなって思う。きっとそんなことなんか全然ないと思うんだけど。紫苑の話を聞く限りじゃ彼女を満たしてあげられるのは神様か、もしくは凶悪な悪魔だけなんだろうな。

 ずっと、ここから異動して彼女の後ろに付いて―――それは本当は彼女の才能を懼(おそ)れた上層部の嫌がらせのような監視として僕が送りつけられる役目になったってだけなんだけど―――色々やってきてなんだか危うくて怖い人だなって思いながらずっと一緒になっていたいと思っていた。デートにも何回か誘った。地域の調査くらいだったら付き合ってくれたけど、でも現実世界での映画やらライブやらには一向に付き合ってくれる気配が無かった。

まさか全く相容れないものだったなんてね。ロメオとジュリエッタ。ロミオとジュリエットじゃないんだ。何にせよ彼女が望むあいては僕じゃないらしいから。

 どうして僕の見る恋の物語はいつも切ないエンディングを迎えることになるんだろう。それは単に幸せなエンディングの方が忘れやすいってだけなのかもしれないけど。


「葉月ちゃん、調子はどう?」

「あ、紳さん。大丈夫です!ちょっとアクスモンが加減してくれないけど」

「葉月殿、加減するとなると訓練にならぬ気がするのですが…」

「分かってるわよ。もう、紫苑みたいにいちいちつっこまないの。…まぁ取り敢えずそんな感じです」

「うん、じゃあ僕は紫苑と違って優しいからちょっと見てあげるよ」

「紫苑~、そんなこと言われてるわよ~」

「別に紳の嫌味はな~んも聞こえねぇなぁ~」

「だって」

「言うと思ったよ。さ、始めようよ」

「ハイ」

「ゴマモン殿、行きますぞ」

「うんにゃ、こっちからいくべよ」


 ゴマモンとアクスモンが特訓を再開した。葉月ちゃんはそれを精一杯の動きで付いていく。まだまだ、アクスモンにばっかり集中してあまり周りが見えていなかったりとか、足のもつれるのがちょっと早すぎたりだとか課題は色々とあるけれど、でも葉月ちゃんの真摯な気持ちなら多分乗り越えていけると思う。見た限りのみこみはあまりよくない感じだけどね。

 その夜、紫苑はまたもや何も告げずに旅に出て、翌朝葉月ちゃんは何も言わずに訓練に打ち込んだ。やっぱり足のギプスは嘘だったんだなと思いながら僕は未熟なテイマー達に指導を続けた。その更に翌日ここの支部長である一乗寺賢君が戻ってきてしきりに自分が目撃したテイマーの情報を洗っていた。

立場的にテイマーへの指導を続けながらそっちの手伝いもした。賢君がいない間に紫苑が旅にでたことを伝えると、ほっとした表情に混じって寂しそうな顔もしていた。それから暫く僕は紫苑に会うことは無かった。











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取り敢えず第一回という事で試しに有名どころガンプラ劇場をあげてみる。再現系も最高にいいがこれはかなり好き。ついでに言うとこの日は知り合いの誕生日なのでその関連でガンダム。



http://www.nicovideo.jp/watch/sm30784






 スティングモンは右腕のクローに開いている射出口から円錐状の尖った長いスパイクを飛び出させた。そして羽を持った生き物とは思えぬ速度で駆け抜けフレイドラモンに飛び掛りスパイクを突き出した。今までスパイクを使った攻撃をしていなかったスティングモンが今それを使ったのは相手の力量を測っての事だった。相手は自分と同等かそれ以上の力を持っている。それが彼の認識だった。

 牽制していたフレイドラモンはそれを見ても動じず、僅かに牽制のため向けた掌の位置を僅かにずらしただけだった。だが、それは相当効果的なものだった。

 フレイドラモンは未だ炎が燻るその掌から炎弾を繰り出した。僅かに掌の向きを移動させたのは炎弾をスティングモンにヒットさせるための修正だったらしい。スティングモンは片方の羽だけ羽撃かせて方向転換の難しい空中でそれを避けると、フレイドラモンのやや右、まさにフレイドラモンが炎弾を発射した腕のある側に着地して再びスパイクを突き出した。

 普通ならそこで一撃は確実に貰う場面なのだろうが、フレイドラモンはそうならなかった。反撃しにくい方に廻られたフレイドラモンは、クンと足に力を入れそれとは逆の方に身体を傾けた。そして自由が利く、攻撃を行っていない右腕のクローの掌から今度は中程度の威力重視の炎弾ではなく極小粒の連射をメインとした炎弾を放った。今度こそスティングモンは避けられず数発を腹に受けよろめいた隙に再び距離を取られた。


「スティングモン、止すんだ!」

「邪魔立てをするのであれば少々動きを封じさせて頂こうか」


 遠くからのパートナーの声よりも近くの敵の声のほうがよく聞こえたらしく、スティングモンは止まらずフレイドラモンに攻撃を仕掛けた。今度は両側のクローからスパイクを出している。

 スティングモンは直線攻撃に偏りすぎたことを反省してか今度は右腕のスパイクを横薙ぎに切りかかった。フレイドラモンは半身下がるとそれを紙一重で交わして次の攻撃を見定めようとした。次は左からのフックじみたスパイク攻撃だった。軽く姿勢を下げてそれを交わすと今度は下げた姿勢の真下から蹴りが上がってきた。一気に身体を反らせてそれも避けると続く連続した突きも綺麗に往なした。

スティングモンは相手の流麗な動きに正攻法では通じにくいと判断し、そのままの体勢で体当たりを喰らわした。その読みは見事に的中し、フレイドラモンは体勢を崩して続くミドルキックを受けざるを得なかった。流石にフリーだった腕でガードされはしたが。

 ケンは思った。間違いなくこのデジモンは自分の知っているデジモンではないと。自分の知っているデジモンはここまで見事に技を使ったり流麗に動いたりするタイプのデジモンではなく、そのパートナー同様大雑把で力強い動きをするデジモンだった。何より交わし、それと同時に見切りの技術は素晴らしいものだと感じた。

身体的能力がフレイドラモンの方が勝っているという訳ではない。現に体当たりでは力負けをしている。それにも関わらずスティングモンの攻撃を往なせるということはつまり身体の動きや力点をよく知りその上無駄なくそれを利用した行動を瞬時に取れるということだった。馬鹿にするつもりで言うわけではないが、彼にはこんな芸当が出来るはずがない、ケンはそう考えていた。

 スティングモンは追撃に掛かった。ここを逃す手はないと倒れかけたフレイドラモンにスパイクを突き出した。しかし、フレイドラモンにはスパイクを喰らわないというルールがあるのか、見事にそれは空を切った。そしてスティングモンはフレイドラモンの姿を見失った。その一瞬で何処へ消えたか。前には自分がいて後ろなら直に認識できる。右もない左も在りえない。となれば答えは簡単な算数みたいなものだった。つまり自分より上空である。

 後ろに身体の傾いたフレイドラモンは異常なまでのバランス能力で身体が倒れ掛かった中片足を後ろに付いた。そして脅威のジャンプ力でスティングモンを飛び越したのだ。そして彼の頭部に手を付けると身体を反転させ綺麗に後方へ回り込んで両手を構えた。


「吹き飛ぶだけ吹き飛んでもらおうか」


 フレイドラモンの両手のクローの先が激しく炸裂した。花火でも打ち上げたかのような音が鳴り響きスティングモンはかなりの距離を吹き飛ばされた。

 ケンは一瞬スティングモンの方を向いて直にフレイドラモンに向き直った。元より戦う気はないと口ぶりではそうだが、警戒は必要だった。何しろこの強さだ、まだ向かってくるのであれば相応の対応を取らなければならない。

しかしフレイドラモンが取った行動はそんな必要が全くないことを示した。


「双方とも刀を引け!このような志もない戦いで無闇に命を捨てるべき理由など無いだろう。村の民は川へ向かい自らの無事を知らせろ!デジドラモンの刺客は拙が滅す!」


 大袈裟に時代錯誤な口調でたいそうに自信がある口振りだった。大分数が減ったとはいえまだ炎の群集は三桁を下回ってはいないはずだった。


「お前も敵でない証拠が何処にある!」

「貴様、炎、敵」

「向かって来るのであれば暫くは寝ていてもらおうか」


 それぞれ近くに居たバロモン、セピックモンの一人ずつがいきり立ってフレイドラモンに攻撃を仕掛けてきた。他のものも心中は同様だったが、敵の相手に追われ攻撃はままならなかった。だがそれが丁度功を奏した。


「御免!」


 フレイドラモンは二人が近づいてくる瞬間に眩く発光した。今まで使用することの無かったそれは目潰しの技なのかとケンは思ったがそうでもないと直に結論付いた。その光はデジモンテイマーである自分にはよく目にするものだった。それは即ち、進化の際に起きる発光現象だからだ。

 鈍い音がしてバロモンとセピックモンはあっさりと地面に伏した。そしてフレイドラモンの姿は変貌していた。しかし、その変化した姿は想像には寄らなかった。


「アーマー体だ。ってことは純粋発生じゃなくて彼はアーマー進化なのか?でもアーマーがこんなに世の中に存在する筈無いのに」


 ケンは自分の知るデジモンのように、全く同種とは言わないまでも少なくとも完全体になるものだと考えていた。そもそもそうなる以外に道が無いと思っていた。

 フレイドラモン、という種類のデジモンは通常はアーマー進化と呼ばれる方法でしか進化しないもの。即ちそのアーマー進化というのはデジメンタルと呼ばれるある種の力の結晶体をデータ化したものを身に纏うことで進化する、いわば武装による変化とも言えるのだ。

しかし自分の知る限り同種のデジメンタルは一つしか存在せず今回の場合は全くの天然自然に発生した進化種なのだと想像していた。最近はアーマー体の自然発生も珍しくないという調査結果が出ていて、現にこのセピックモン、バロモン、ポンチョモン、それに敵のボアモン、ランクスモンですら元々はアーマー体であったものだ。発生というか派生の原因は解明されていないが、そんな例があるだけにケンは自然発生種だと考えていた。

 しかしそういう場合は通常進化同様あくまで成長強度の過程の一つ、成熟期と同格の進化強度であることが確認されている。故に、別の種類の同じ進化強度のデジモンに進化することなど在り得ない筈なのだ。それが起こる例というのは唯一。つまり自分の知っている男のようにパートナーをデジメンタルで進化させ尚且つ別種のデジメンタルも持っていて使用できなければならないのだ。

 フレイドラモンはヤシャモンという姿へと変貌していた。純真のデジメンタルという種類のデジメンタルをモチーフにした仮面をつけ、背に何かぬいぐるみのようなものを括り付けて背負い木で出来た盾の付いた手甲に木刀を持っている。木刀での一撃は強く敵を一刀両断するのも容易いという。


「証拠が欲しいのであれば見ているがよい!」


 やはり自信たっぷりにそう言い放つとヤシャモンは再び発光し始めた。そしてその光が止む頃にはまたも別のデジモンに姿を変えていた。その名前をデプスモンと言い人魚のような姿に水中で活動するのに適したジェット等の付いた青い装甲を身に付け、鰭の付いたしかし水を掻く為だけに使用するには些か爪の大きい手甲を付けていた。


「主等に罪の在る無しの議論など無用。ただ滅すがよい」


 デプスモンは炎の群れの中心に飛び込むと両手を開いてなにやら泡のようなものを大量に生み出した。ケンにはそれが一目で相当危険なものだと分かった。見た目にそぐわぬ破壊力が秘められていることに気付いた。

 泡はフワフワと宙を漂い群れの合間に散らばる。そしてそれが何か群れが認識する間もなくそれは炸裂した。それは散弾銃さながら手榴弾よろしく飛び散り広範囲のデジモンを攻撃した。それも間断なく五個六個が連続して。

 泡の爆弾、言うなればバブルボムはまさに彼の技の名称そのもので、泡が炸裂するその勢いで水滴を弾丸の如く飛ばし敵を打ち付ける技だ。水は以外にも創造より強固で、例えば高所から落下した時に下が水であったとしても直にそれに衝突すれば骨折など簡単に起こす。まさにコンクリートの如き強度すら持ち得るのだ。

 それだけでも脅威であるにもかかわらず、今は相手が炎で此方が水の属性を持つという優位も在る。あれほど燃え盛る炎の前では僅かな水分など直に乾いてしまいそうにも思えるが、そこはやはり確固たる実力がものを言う。他の属性をメインに戦うデジモンであるならその通りにもなろうが、自分の一番特化した能力であるならばそれは相手とよほど力の差が無ければそれが起こり得ないのも道理だった。

 バブルボムはあっさりと炎の軍勢の身体を貫いた。圧倒的に殺傷力に差があった。その上広範囲というのも効率的にはスティングモンの遥か上をいった。相性にも差が見受けられる。ケンはふとあることを思った。


「デジメンタルを…使い分けて、いる?」


 スティングモンの時は昆虫の固い甲殻に強い炎、バロモン、セピックモンの時は光線や炎などの遠距離系の攻撃に比べ殺傷力やダメージを抑えやすい直接攻撃、そして今は炎に相対する水で攻撃を仕掛けている。もしも全てのデジメンタルを使いこなせるのならこのような戦い方もきっと想像に足るだろう。しかしそれはとてつもなく脅威であるとも言えた。何しろ何人ものデジモンが一人で足りてしまうのだから、戦う相手にするには恐ろしい。


「あ、み、皆、あいつの破壊力は見たでしょう、動ける人は負傷者を連れて川の方へ向かってください」


 ケンはいつの間にか攻撃の矛先があのデプスモンに集中しているのを見てセピックモン達に逃げることを促した。デプスモンに此方を攻撃するという気がないのはもう明らかで、何にせよ被害が少なく済むのならそれに越したことは無いという判断だった。

 デプスモンはケンに促されるままにふらふらとまるで操り人形の如く戦いをやめ立ち去って行くセピックモン達を目の端で確認しながら尚も攻撃を続けた。相変わらず水の爆弾はその相性ゆえに驚異的な威力を発揮し炎の軍勢を一挙に消滅させていた。

 考えられている。ケンは村の戦士達を誘導しながらも背中に感じる気配にそう思っていた。当然彼は一人ではない。デジメンタルというアイテムによる進化という時点である程度は確信していたが、この類稀なまでの戦略性の高い戦い方を見てよりそうであると感じた。相当なキレ者のテイマー、この上なく本物の力を持った人間の陰を感じた。いや、感じざるを得ない。


「ケンちゃん、あいつは…」

「止せって言ったろ、スティングモン。あいつは多分敵じゃない。でも味方になるって雰囲気でもないな」


 激しく吹き飛ばされたスティングモンがのそっと現れた。彼が敵ではないというのはスティングモンも感じていた。あの時、吹き飛ばされた時、それを重視せず、直接クローからの炸裂攻撃でダメージを与えようとしていれば、スティングモンを難なく吹き飛ばす爆発を直接身体にぶつけられていれば多大なダメージは避けられなかったはず。

しかしデプスモン、その時のフレイドラモンは威力を抑え、距離を開けて爆風のみでスティングモンを吹き飛ばすという方法を取った。それに手合わせをした感想としても決してこちらを傷つけようという悪意はないような感じがスティングモンにはしていた。


「数打ちを持った凡なる武士(もののふ)が名刀を帯びた武者に勝てぬことの如く主にただ従うのみの主らが拙に勝てぬは道理。それでも向かうという無謀者有ればこれまた滅すことも必然だ!」


 デプスモンは手頃なデジモンを爪で切り裂くとそうの給った。しかし感情を完全に閉ざしてしまっているらしいデジモン達は一向に戦意を喪失させる気配を見せなかった。既に敵はボアモン二頭にフレアリザモンが五頭ランクスモン四頭にダークリザモンは一頭も残らず、と僅かに難を逃れた生き残りが存在する程度だった。

 デプスモンは手を構えた。しかし泡は形成されずに手元で淡く弾けた。デプスモンはフェイスマスクで表情こそ分からないものの、舌打ちをするようなジェスチュアでそういった気分を示した。


「流石にあの数は威力を制限してもDPが尽きるか。仕方ない、ヤシャモンで行くぞ」


 デプスモンがどこかを向いて低い、よく響く声で声を掛けた。直後デプスモンの身体は再び発光して先ほどのヤシャモンの姿となった。

 一方で炎の残党の方にも変化が見られた。なにやら不審にも一箇所に集まり、その周りを四頭のランクスモンが囲むようにして廻っていた。


「ケンちゃん。様子が変だよ。今のうちに…」

「いや、ここは少し様子を見よう。多分彼は大丈夫、の筈」


 周りを廻るランクスモンのスピードが上がってきた、と思うとランクスモンの身体の炎が次第に帯を垂れてきて前のランクスモン、後ろのランクスモンと軌道を残すように繋がっていった。それは次第に量が増え溢れ始めその内側の炎の残党をも包み始めた。


「肉体を分散する…また不可解な技を使うものだ。何であろうと拙には切り裂く以外にしてやれることはないがな」


 炎の残党は一つに寄り集まって炎は次第に収まってきた。しかし力強さは寧ろ増していて、形を成す時には、すなわち元の一匹のランクスモンの姿に戻った時には今まで異常に溢れんばかりの炎を纏っていた。


「闘いに狂うほど愚かではない…が、興は高じるな。行くぞ!」


 ヤシャモンは早速集合体となったランクスモンに斬りかかった。右肩構えたに両方の木刀を袈裟斬りに振り下ろした。ランクスモンはこれまでの凡愚な輩とは違い姿勢を低くしそれを避けた。同時に前足に体重を掛け真下から懐に一気に飛び掛った。


「ほう、上手い」


 攻撃直後でがら空きになった体に鋭く向かってくる爪を一気に引き戻した右腕で受け、振り払い左肩で胴に当て身をする。ランクスモンは倒れる寸前後ろ足に力を込めて地面を蹴ると後方回転し元の通り四足で地面に着地した。ランクスモンの動きは見事でヤシャモンは驚嘆した。どうやらこの動きを見る限りでは別の生命体が一つに纏まったというよりは元々一つであった生命体が分体となったのを再び統合したという感じだった。

身体の動きがスムーズで慣れたものの様であったし、デプスモンの攻撃から逃れられていることが偶然出なければ他のデジモンよりは多少能力が上であったとも考えられる。事実デプスモンは力の温存のため技の破壊力を急所に当たらずとも敵を殺傷できるぎりぎりのところまで抑えていたのだから僅かにそれを上回る能力があれば生き残ることが出来るのは必然だった。


「炎の中に身を隠していたか。やはり頭は使うものだな」


 左肩での当て身の瞬間に右足を背歩に、つまり踏み込んだ左足よりも身体の向こう側に置くことで進んだ方向と逆の方向へ行きやすいようにしていたヤシャモンはそのまま直に左足をランクスモンと逆の方へ踏み込んだ。しなやかな動きであったランクスモンが直後に攻撃してくる気配を感じ、踏み込んだ足を軸に身体を捻り右腕の木刀を下から切り上げた。ランクスモンは顎先目掛けて向かってくるそれを一跳びして交わすと見事に振り上げられたその木刀に飛び乗ってしまった。


「見事見事。それでこそ血沸き肉躍るというものよ」


 白熱し始めた闘いに次第に饒舌になってきたヤシャモンは飛び乗られた木刀を素早く引くともう一度素早く突き出した。極端に素早い動きの取れない空中でヤシャモンの突きはランクスモンの身体を捉えたかと思われたが、何故か突き出した木刀にその感触は無く、着地したランクスモンはヤシャモンに体当たりし、そのまま押し倒した。

 奇怪なその現象に動きを乱されながらも、直に意識を闘いの中に取り戻しランクスモンの腹を蹴り飛ばし強制的に距離を取らせた。しかし猫科らしき風貌をしたランクスモンはバランス能力が驚異的で、さほど遠くまで飛ばされぬよう地面に爪を突き立て再び突進を図った。

敵の圧倒的な切り返しの速度に攻勢を立て直しきれぬヤシャモンは暫く嵐のように飛び来る爪や牙を往なすことで精一杯だった。それでもその状態で往なすことに難を感じていないのはヤシャモンが確かな実力者であるという証明でもあるが。

 ヤシャモンは攻撃を受ける、又は受け流す際に僅かに相手が予想する軌道よりも外や内にずらして受け相手の攻撃のタイミングを少しずつ狂わせながら防御を行っていた。この防御という名の攻撃は実に巧妙で、攻撃する側がそれに気付かずに強引に攻め入ろうとするとあっさり優位な体勢を翻されてしまう。

例えるならばそれは滑りやすい床があるとしてそれを注意して進むうちは良いが急に滑らない地点、引っ掛かりが起こる地点に差し掛かると足を取られ転んでしまうことと同じである。

 ヤシャモンはそうして見つけた隙に上手く付け込み風を切る素早い太刀筋でランクスモンの頭にそれを浴びせた。しかし木刀にあるべき手応えはまたも感じられず逆にランクスモンの爪によってヤシャモンのとっさに受けた気の手甲が大方を砕かれてしまった。

 ランクスモンの追撃の気配を感じたヤシャモンは左腕でランクスモンを振り払いながら後退した。しかし相変わらずランクスモンの身体は炎の熱さしか感じられず少しの手応えもなかった。


「成る程成る程。力のないものが使いそうな手だ。だが、拙には通用しないことを見せてやろう」


 ヤシャモンは左の方の木刀を地面に突き刺すと掌を構え指先をランクスモンに向けた。


「MPが残っていれば精霊の力も使えたのだが、今は過ぎたことをとやかくは言わないことにせねばなるまいな。まずはこの技でどうだ」


 ヤシャモンはクンッと指を動かした。するとランクスモンの側の木がバリバリと地面からもぎ取られるように浮かび上がりランクスモンに倒れ掛かった。ランクスモンはそれを後方に跳んで避け、火炎を口から吐いてその木を燃やした。


「やはり攻撃範囲が広いものは避けるしかないようだな、つまり全く物理攻撃を受け付けないという訳ではない。次もいくぞ」


 そう言うとヤシャモンは続けて指を蠢かせた。すると周りの木々がまるで魔法のように浮かんではランクスモンに襲い掛かった。ランクスモンは身軽にそれらを次々と避けてゆき直撃されそうになったものは炎で焼き落とした。

 ヤシャモンはランクスモンに気付かれぬうちに間合いを詰め右の木刀で打ち据えた。いや、それは最早打ち据えたというよりかは斬りつけたという鋭さで、事実ランクスモンの後ろに位置していた木はランクスモンが避けたために木刀に触れた部分が鋭く一本の筋になって斬れてしまっていた。


「この太刀の危険度が分かる辺りは褒めてやろう。だがまだまだだ」


 ヤシャモンは再び指を動かした。ヤシャモンのその力によって操作されたランクスモンが着地した足元の木が跳ね上がりランクスモンを宙へと舞い上げた。次こそは確実に捉えられた。そう思える速度でヤシャモンは木刀をランクスモンに振り抜いた。まさしくそれは比喩などではなく、ランクスモンから舞い上がった炎がスッパリと斬れた。

 またもや剣先はランクスモンに触れた感触をヤシャモンにもたらさなかった。しかしヤシャモンははっきりと炎の帯が自分の脇をすり抜け自分の真下に着地した。そして自分に向かって炎を吐く姿も確認し、驚くことに吸い込んだ息の一吹きで散らし炎がヤシャモンを避けるような形で通り抜けた。


「サーマルメインだ。爆発を利用して自分を一定時間攻撃の効かない炎の塊に変えているんだ」


 ケンはスティングモンに呟いた。ケンの推測は当たっていた。ランクスモンは熱エネルギーを高め身体の炎を炸裂させる技サーマルメインを使い、小規模に身体全体を爆発させ一定時間炎の身体となりヤシャモンの攻撃を掻い潜っていたのだ。それは直接攻撃しか出来ないヤシャモンには脅威の筈である。何しろ技を使っている間は攻撃はされても此方は何も出来ないのだから。


「次はこういこうか」


 ヤシャモンはまたも指で木を操り空中に浮かした。しかし今度はそれを自分の目の前に持ってきて木刀の力任せの一振りで細々と砕きランクスモンに浴びせた。ここまで散らばれば流石のランクスモンもはなから避ける気など起こらないらしく炎を吐いて自分の目の前に迫る木の欠片を焼き尽くした。

 ヤシャモンは休む間も無く同じ行為を繰り返した。全ての破片が地面に突き刺さるまでの間に次の木を持ち上げ砕き自分と同様にランクスモンにも休む間を与えない。

 ヤシャモンは疲れた様子を見せなかったがランクスモンは流石にそういう訳にもいかない。木の破片が同じ強度であるはずの木やあろうことか岩にすら突き刺さる勢いで飛んでくるのだから炎を休めるわけにもいかない。しかし、技を連続して出し続けるのは相応にエネルギーを消費し易く、ヤシャモンのただ持ち上げて砕くという行為に比べランクスモンは大分密度を込めた炎を繰り出さなければならずエネルギーの疲弊が早く、目に見えてランクスモンの炎は勢いを失っていた。

 ランクスモンは仕方なくまた自分を爆発させて木の破片の嵐の中に飛び込んだ。炎となった自らに突っ込んでくる木の破片は悉く燃え尽き、ランクスモンは無事嵐を抜けることが出来た。かに見えたがしかし、


「今その技を使うべきでないと判断したところは認めるが、我慢とエネルギーが足りなかったようだな」


 同時に攻撃の態勢に入っていたヤシャモンが素早く木刀を振り下ろした。その剣速は語るべくも無く凄まじく、炎だったはずのランクスモンの身体が千切れるように二つに分離し、そのうちの片方が揺らめく炎が散るように消滅した。そしてヤシャモンはもう片方の炎の身体に手を突っ込んだ。そしてその中から何かを抜き出し、そしてその炎も消滅した。


「能力の低さを隠す輩にはこういった弱さが付き纏うものよ」


 それはランクスモンのデジコアだった。まるで炎の塊を覆うように透明だが、少し中の赤に色付いたようなオレンジの膜に覆われたその紅玉は身を守る炎を失うとまた再び自らの周りを燃焼し始めた。それはランクスモンの最後の抵抗だったが、それも虚しく宙に放り投げられるとヤシャモンの一刀にて二つに分かたれた。


「思ったよりも手痛くやられたな。ふむ新調しようか」


 木刀は焦げ付き、手甲は燃え尽きてしまって見る影も無い状態になってしまった。仕方ないとばかりにヤシャモンは自分の木刀と手甲を砕くと最終的には殆ど使用しなかった木刀一つを抱え上げそれを倒れた中で燃えていない木に突き刺した。


「精霊よ、力を頂こう」


 ヤシャモンが何か聞き取りにくい言語で言葉を呟くと木刀とそれが刺さった木が淡く光だし光の粒となってヤシャモンの身体に纏わり付いた。そして光が治まる頃にはヤシャモンの手甲と木刀は復活していて元の木刀が刺さった木は消滅していた。


「よし、奴には苦戦しなかったこととしておこう」

「ま、待って」


 ヤシャモンがこの場を去ろうとしている雰囲気を悟ってケンは慌てて声を掛けた。


「何か、用かね?」

「君は、いや君達は何故この場に現れたんだ?見たところただ通りがかったという訳でもなさそうだし…」

「拙等が主の様にわざわざこの地に出向いたとでも?」


 ヤシャモンは表情の判り難い面の中で、しかし確かに口の端を吊り上げて笑った。そしてすぐに表情を戻した。


「…当たらずとも遠からずと言わせて頂こうかな。デジドラモンの軍勢の動向を計っているのも確かでは在るがここには単に居合わせただけだということも事実である」

「そんなまさか。君の動きは隠密隊のそれだったぞ。争いの芽を摘むみたいに現れて動いていた」

「拙はこれより相棒の下へ帰還する。質問も深追いも無用だ」


 ヤシャモンはビュッと木刀を振った。ケンはそれにより発生した風圧に吹き飛ばされそうになり周囲の木々は枝を揺らし幾ばくかの葉を散らした。


「そうそう、主の相棒もなかなかの兵(つわもの)であったぞ。本気でやれば拙も危なかった。手を引いてくれたことに感謝する」


 ヤシャモンはぐっと足を踏み込むと脅威の跳躍力で跳んで行ってしまった。ケンはただそれを見送るとスティングモンを振り返った。スティングモンもケンと同じように呆然としてヤシャモンを見送っていた。


「スティングモン、皆の様子を見に行こう。被害の状況も気になるし」

「うん、分かった」


 不思議な感覚を感じながらもケンは屈んだスティングモンの背中に乗り、バロモン達の向かった川のほうへ飛び始めた。飛びながらケンはもう一度ヤシャモンの跳んだ方向へ振り返った。今後きっと彼とはまた会う事になる。不思議とそういった確信がケンにはあった。











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将棋の打ち方忘れた!!

あぁ~あんな素人みたいな手を使う奴に負けたぁああ!!!まるで駒の連動が成り立ってない。凡ミスばかり。五手詰めすら見えない。うわへこむ。久々に将棋をやったがこんなに弱くなってるとは。あーマジ詰め将棋三手からやり直さなきゃ。一番初期の戦法とか使うかもう。あぁ棋譜みさせて。プロの棋譜を。これは酷い。本気で出直して来いレベルだった。

うわぁ・・・・・・・・・何この戦場っていうか惨状。まるでわかんね。酷すぎ。


っていう普通の二十歳ではほぼ無い様な愚痴。別に本気でやってるわけでもねぇのに将棋が弱くなってたことに凹む二十歳はいるのか。








「止めるんだ君達!」


 広大なグランドキャニオンの如き岩壁と相応の生物が住まう森に囲まれた谷のそこのとある一角に存在する閑静な集落地。そこは突出した技術や特色などなく純粋に行き場を失くした群れを成すデジモン集い立ち上げただけの村。

申し訳とばかりに数針のテントと簡単な木造の家。寝るには困らない程度のそんな宿と食べるには困らない程度のいくばくかの畑、外敵から最低限身を守るための設備である見張り台だけが存在して、飾り気など殆どない。唯一集落の中心には村人達の結束の証でもあるのか不思議な形をしたモニュメントが存在してる。

それは縦に長いタイプの塔のような物ではなく丸やら四角やらの集合体みたいなもので、専ら幼いデジモン達の遊び場になっていたらしい。その証拠にそのモニュメントには幾らか風化では起こらない欠損や小さな足跡が残っていたりした。   

 だが今はそれらは空しくパチパチと音を立てて周辺の森と人々の顔を紅蓮に照らしていた。木造の家は力なく倒れ、幼いデジモンやそれを守る親代わりのデジモンを下敷きにしていった。どうにか大人達が力を合わせ崩れて役を成さなくなった家を退かして仲間を助けたが、いかにデジモンとはいえ生命力の低い子供達はもはや虫の息だった。

 「逃げろ」だとか「助けて」だとかそういった類の叫び声がこだまする中それとは異質の言葉を発したアナログの少年は村人が水を求めて逃げる先の川の方へは行かず、同じくして逃げ惑うデジモンに背を向けたデジモン達の方へ向かった。

デジモンの種族としては、印字を施された巨大なブーメランを持ち、顔を覆い身体の上半身は隠してしまおうかと言うほどのこれまた巨大な民族色漂うお面を装着した未開拓地の原住民といった風貌のセピックモン、
獣の神を思わせるような顔にやはり原住民族の神官のようなマントと法衣らしきものを身に着けたバロモン、
一風変わってルンバやラテンを踊りそうなポンチョに帽子を被った見た目通りの名前のポンチョモンで、
それぞれが十数人程ずついてそれに向かい合うようにして何百という炎の塊が漂っていた。

炎と対峙するそのデジモン達は村の中でも戦いや狩りをする為に特に日常身体を鍛えている戦士達で、いざという時の自衛団の役割を担っていた。村は彼らと同種の、または同種に進化する可能性の高い種族で構成されていた。いわばこの三種の混合集落であったのだ。


「気を付けてください。見えるところにいるのが全てではないですから」

「大丈夫だ。そのくらいはわしらも心得ている」

「奴ら、沢山の仲間、殺した」

「一匹も生かして帰すな!」

「皆さん落ち着いてっ」


 セピックモン達は限りなくいきり立っていた。無理もない、突然自分達の村を壊滅状態にまで追い込まれて冷静でいられる感覚などこの種のデジモンには持ち合わされていない。人間であっても復讐心に駆られている筈だ。

 一方で炎は無言だった。ガルルグルルと唸ったりはするものの破壊するということ以外に意識は向いていないようだった。事実ここまでに何匹か既に倒されているというのに一向に気にしている様子はなかった。

 少年が止めるんだと叫んだ炎の正体は当然この世界であるのならデジモンであって然るべきだった。その風貌は全て一括し統一されていて身体の構造、部位に関わらず炎を身に纏っているということだった。

 カラーリングのみが違うというRPG等のゲームでは使い古されたシステムを髣髴とさせる炎そのもので構成された身体に特殊な金属の鉄仮面を付けた恐竜のような出で立ちの赤いフレアリザモンに黒いダークリザモン。炎を纏った猪としか表しようがないボアモン。他に比べ炎の強さやその色の濃さが違う虎や豹等猫科の類の顔をしたやはり全身が炎で構成されているランクスモン。彼らは一様に村の戦士に飛び掛る隙を窺っていた。


「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」


「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」「殺せ!」


 同時に起こった力の篭ったコールに、先頭にいたセピックモン達は弾けた様に炎のデジモンに飛び掛って行った。もはや戦闘を止める事など出来そうにない。少年は起こり始めた最悪の事態に拳を震わせた。村人が勝つのだとしても甚大な被害は避けられそうにない。そんな暗い思いが少年の心の中に広がった。

 血流を模したデータや、赤やら黒やらの火の粉が飛び散りデジモン同士の激しい争いが起こっていた。ポンチョモンがフレアリザモンと取っ組み合い、そこにボアモンが突進して行きそのボアモンをバロモンとセピックモンが叩きフレアリザモンとランクスモンが乱れ入って来る。

はたまたセピックモン一人でフレアリザモンの群れに飛び込みそのうちの数匹を道連れに消滅していったり。戦いは連鎖として続き果てなく続いていた。もはや双方に大将や指揮者が居たとしてもその存在に意味などなくなり戦いが終焉を迎えるにはどちらかの勢力が完全に死に絶えことでしか在り得ないだろう。


 争いの中で炎のデジモン達は無防備の少年の姿を見つけた。炎のデジモン達がどういった理由で村に襲い掛かってきたのか、判明するには些か情報が足りなかったがどうやらとにかくここに存在する自分達以外の生き物は全て攻撃するらしいということが分かった。ボアモンは躊躇なく少年に突進した。


「スティングモン、出来る限り皆を守るんだ、右舷3,5アタック、」


 少年は叫ぶようにそう言いながらさらりと身を翻してボアモンの突進を回避した。それだけで少年の身体能力の高さが窺い知れた。ボアモンの突進速度は見た限りでもバイクのそれと同等程度の速度とを持っていた。ぎりぎりまで引き付け方向転換の間もなく横へ避ける。それには自分と相手の間を計る動体視力も一瞬で攻撃を喰らわないところまで跳ぶ瞬発力が必要だった。そしてそれを少年は持っていた、そして擦れ違ったボアモンの熱気にさらされても涼やかな顔をしていられる度胸も。

 少年はポケットから小型の機器を取り出した。それは上の方がやや膨らんだ楕円形で黒い色をしていた。それは紫苑の持つデジヴァイスの類らしく多数の機能を有しているようだった。少年はデジヴァイスの画面を覗いた。無数の点滅する赤い光が自分を表す青い点を囲んでいる。その中に目まぐるしく動き回る緑色の光が次々と赤い光に寄ってはそれを消滅させていた。

 少年は後方に熱気を感じて素早く前に転がった。後方にはフレアリザモンが居て、その口から高熱の炎弾を吐き出した。間一髪で少年に避けられたその炎弾はそのまま直進し木にぶつかって炎上させた。


「ケン君、大丈夫かい?」

「あぁ。有り難う、助かりました」


 襲ってきたフレアリザモンをポンチョモンの拳が弾き飛ばした。少年、ケンは律儀に礼を申し上げてすぐさま先へと進んだ。変わらず赤い光は青い光を囲んでいて緑の光が通ったところはその所々で光が消滅していった。


「おーいスティングモン、こっちだ」


 ケンが呼ぶと緑色の光、スティングモンは赤い群れの隙間を縫うように進んできた。そしてさっと青い光と交錯すると緑を基調とした仮面ライダーのような風貌でそれには似つかわしくない昆虫を象徴する四枚の羽と両腕に手の甲の部分に何かの射出口がある厳ついクローを装着したスティングモンがあっという間にケンを腕に抱えて上空に飛び上がった。


「ケンちゃん、大丈夫?」

「大丈夫だ、それより次行くぞ」


 言葉の内容とは裏腹にかなり渋い粋な声でそのスティングモンはケンに話しかけた。ケンは軽く頷いてスティングモンに次の攻撃を促した。争いの場や修羅場にはおおよそ慣れている様だった。危機一髪の状況でも、少しも動じた様子は無かった。というよりそもそも危機一髪だったとすら彼は思っていない様だった。それは大いにスティングモンの力を信頼してるからなのだろうか。それともやはり場数を踏んだことが成せるものなのだろうか。

気付けばケンはソプラノ、という程ではないが大分高音域で落ち着いた声をしていた。声変わりでもあまり向きが下へと変化しなかったタイプの声質らしい。それは見た目と相俟って彼が十四、五であることを示していた。

スティングモンはケンを背に乗せて再び次々と地面に燃え盛るデジモン達を攻撃して掛かった。あるいは頭部の仮面を砕き炎である自身の身体を制御できなくなり自らの力以上に燃え上がっての消滅を促す方法を取ってみたり、あるいは残っている肉体部分を連続して爪で貫き致命傷を与えてデータを四散させる方法を取ってみたり、またあるいはデジコアと呼ばれる、言わばそれはその者の生命そのものといえるものを貫き完全に滅殺するほう法を取ってみたり。

 スティングモンは限りなく効率的なやり方で奪う者の命を奪っていった。力の差がなければ出来ないその芸当は彼がこの場に存在する誰もが辿り着けない、少なくとも現在は辿り着いていないであろう高みへと手が届く存在であることを示していた。即ちこの世界で言うところの上位の成長強度、つまり完全体へと進化する可能性を持っていることを示唆していた。

 だがそんな彼にもこの圧倒的な個体の差は難儀な心持ちを感じさせていた。二桁なら辛うじていけるだろう、三桁に差し掛かるくらいならそれほど此方と戦力に差が在るわけでもない。だが三桁もそろそろ後半に差し掛かる域に達すればさしもの彼も疲れを見せてしまいそうだった。だが、幼いケンはそれをしてはならないことを理解していた。戦いの場でそれをすることは即ち命取りであることをこの若さで理解しているからだ。


「どうにか一網打尽にする手は…水は近辺にはない、水属性の技もない、仮に在ってもこの数じゃ蒸発させられるのが関の山だ。…くそっ、彼ならきっと思いつくんだろうけど…」


 ケンはふとぞっとする思いを心中に感じ取った。ざわっと皮膚が粟立ち熱気に包まれたこの場で一抹の寒気を感じた。おぞましいイメージが脳裏を絡めとろうとして、はっとしてそれを振り解いた。


「ケンちゃん、大丈夫?」

「あぁ、彼、のことをちょっと思い出しただけだ。皆は僕の昔の例もあるし様子を見てみようって言っていたけど、僕にはどうも苦手だからな」


 それを敏感に嗅ぎ取ったパートナーのスティングモンがケンに問いかけてきた。吹き出た冷や汗を拭いながらもケンは冷静を装った。愚痴に似た呟きを発しつつ彼は意識を戦いの中へ集中させた。瞬時に意識を切り替えられる優れた脳みそも彼は持っているようだった。

 ケンの脳裏に浮かんだ「彼」は鋭く冷徹な眼をしていた。それが綻ぶ場面を見なかった訳ではない。感情のない木偶でもないと知っていた。しかしケンはそれに畏怖の念を感じ、そして例の「彼」を見る度にその背後に同じく鋭く冷徹な眼をしたマント姿の少年の陰を見ていた。皇帝(カイザー)と、呼び名を付けるならそうなるだろう風貌の少年の陰は、彼にとっては一番イメージしたくないものだった。


「ケンちゃん、避けるよ、しっかり掴まって!」


 地上から吐き出された数発の炎弾を小さく細かく旋回してスティングモンは回避した。同時に空中を漂うままではいい標的ともなり兼ねないことを悟ってすぐさま炎弾を放った主に攻撃を仕掛けた。例の如く頭部の仮面を砕かれ一瞬のうちに激しく燃え上がりその者は消滅に至った。


「戦況が悪いな。やっぱり被害の拡大は免れないかな」


 再び舞い戻った上空でケンが達した結論はそれだった。最早地道に敵を減らす以外に自分に手だてがないことは明白だった。迅速にそれを行い敵を退ける、基誤魔化さず正直に言えば殺すことだけがこちら側のデジモンが死ぬ数を減らす手段だった。スティングモンはやはり再び風を切り裂いて燃え上がる炎へと突撃していった。

 その瞬間だった。ガキィンと激しい金属音のようなものが鳴り響いてケンの足元、つまるところスティングモンの体勢が大きく揺らいだ。なんとか自分も落ちずスティングモンも緩やかに地面に着地したが何が起きたのかと一瞬あっけに取られた。

 身を乗り出したケンが見たものは燃えた木々とデジモン同士の殺意や悪意の中に立つ青い生き物の立ち尽くす姿だった。手足にはそれぞれクローのついた手甲(ガントレット)赤い、足甲(レックレット)を装着し、同じく頭部には赤い仮面が装着されており、尚且つその額からは鉈のごとき刃を持った角が生えていた。

2メートル半くらいのその生物は人にその姿が近いが、獣じみていて、簡素に言い表すなら竜人といった風貌だった。犬のように爪先から先が長い足を持ち、尻からは強靭そうな尻尾が生えている。竜のタイプは例外なく強い存在とされ、デジモンも例外ではなく、竜、つまり「ドラモン」のタイプは強い種族とされている。

 ケンは驚いた。驚いたことはそれがドラモンのタイプであることでも、未知なるデジモンであったからでもない。事実彼はこのデジモンのことをよく知っていた。その名がフレイドラモンであるということも。


「フレイ…ドラモン。何で、ダイスケがいるのか?」


 ケンが驚いたこと、それはこのデジモンをパートナーに持つ男を極身近に知っていたからだった。それが何故こんなところにいるのか、そして何故自分達に攻撃を仕掛けてきたのか。ケンの知った男のパートナーとは別のフレイドラモンであると思えば単純だが、いかんせんそのデジモンは古代種族の生き残りで数が極僅かという事実を知っているだけにそうとは認識し難かった。攻撃してきたのがフレイドラモンではないとも思いたかったが、フレイドラモンの両手の手甲には炎が燻っていて、スティングモンが攻撃を受けた部分もいくらか火が移っているのを見ても間違いはなかった。


「君は何で…」

「手荒な事をしたのは済まない。だが、今は暫し待たれよ」


 問いかけたケンに対し、隔絶を示すように手甲のクローを開いて牽制した。そのことにより空気はより緊張感を増したが、同時にそのフレイドラモンが自分の知るフレイドラモンとは違うという認識にいたってケンは図らずとも安堵した。目の前のデジモンは自分の知るそのデジモンとは口調も声も全く違ったのだ。

 しかし不運かその言葉を聞いたもう一方、つまりスティングモンは攻撃に入ってしまった。彼もケンの様に自分の知るデジモンではなかったことは認識したが、同時に敵であるとも認識できるこの状況でパートナーを守るために防衛本能として攻撃態勢に入ってしまった。












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 信じられない光景を見た。

 私達はブイドラモン君の背中に乗って―――何度も説明するようだけどその姿の正式名称はエアロブイドラモンって言うらしい―――紫苑の向かった先へと急いだ。勿論一番急いだのはブイドラモン君だけど。

 かつての木々はその欠片のみを残して、かつての平地は起伏に富んだ荒野へと化して道を作るようにQDCのファイル島支部、つまりビートランドへと戦闘の痕を残していた。

結花さんがどれだけ強いデジモンを従えているかそれだけで簡単に想像できた。破壊の道標は二つの方向に伸びていたけど、こっちの方が本物だと紳さんはビートランドへ向かうことを選んだ。木の倒れ方を見れば分かると紳さんは言ったけど、今の私にはさっぱり違いが読み取れなかった。

 私達は急いでいたけど、ブイドラモン君もまだ体が回復しきっていなかったみたいで数分飛行しただけで直に元の姿に戻ってしまった。仕方なく私達は残りの距離を歩いて進むことにした。進化する体力が残っていないブイドラモン君とまだ目の覚めないアクスモンとで一体どのくらいの力になれるのか分からないけどこうも大きな力を見せ付けられて紫苑を放っとける程私は利口にも無責任にもなりたくなかった。力になりたいと願った以上は足手まといだって笑われても紫苑を助けたい。ビートランドまではもう直ぐだった。


 信じられない光景を見た。

 頭上を黒い影が通り過ぎた。見たことのある姿だった。影は私達を追い越し荒地を進んでいった。急いでいるようにもみえたのは何でだろう。あの体でまだ結花さんの命令をまっとうしようと考えてるのかもしれない。それにしては疑問もいっぱい残るけど。


「今の」

「そうだね、急ごう」


 その正体に佐川さんはきちんと気付いていて、とろくさい私を腕を引っ張ってくれた。先の方で待っていたブイドラモン君はまだ起きないアクスモンを抱えなおして近くの木に手を付いて休んでいた。自分の手を付いた木はひどく傷んでいてそれを見てグルルと少し唸っていた。

 あのデジモンが何の目的であそこに向かっているのか分からないけど、彼が何かをしようとしているのは間違いなかった。でなければあの傷だらけの体で戦う場所へと向かう理由が分からない。

 まさに今目指している場所から黒煙と爆音があがった。急いだ私は躓きかけて木に手を付いた。その木もひどく傷んでいた。





 誰もいなくなったフロアで私は体を起こした。千切れた左腕が散り散りに消え去り腕の根元から中途半端に生えた触手が医師と関係なく蠢き、なくなった先の触手が武器を取ろうとしていた。

 私は槍をついて身体を支えた。贖罪はまだ済んではいない。その事実だけが私を動かし弱ったところからデータが分解されるのを阻んでいた。この身が朽ちて消え去るまでにその全てを終わらせなければならない。もう余り時間はない急がねば。

 開けられた穴から虚空を眺めた。遠くには黒煙が上がり道を作るように木々が二方向なぎ倒されていた。それを非道だとは言えない。私も同じことを何度も繰り返してきたのだから。片側の道からは強い匂いがしている。ならばそちらが進むべき方向だ、さて行こう。

 身体を動かすと至る所から雷撃のようなものが迸る。私がまだやんちゃだったころに腕を折った時の痛みに似ていたがそれよりも随分強く同時に何箇所からもそれは伝わってきた。大人になってからは堪えることに大分慣れていたが、今更堪えがたいものがあることを思い出した。

 痛みは薬だ。私の意識を保つための。どんな激痛でも構わない、たどり着きさえすればそれで全て構わないのだ。後はきっとあの少年がなんとかしてくれるはず。他人任せも甚だしいと思われるかもしれないが、私には出来なかった。愛するもののためにはどんなことも出来る力が沸いてくるということが嘘であるとこんな瞬間に悟ったのは不幸であるようで幸運であるような気がした。

 私は穴を飛び降りた。足は速いほうではないが終わりまでには随分時間がある、きっと間に合うだろう。着地の際に一本足の触手が千切れて消え去ったが私はかつてないほどの速さで走ることが出来た。燃え尽きる前の蝋燭は最後に強く光を放ち、時が来れば容易く消えてしまう。解けて固まった蝋が何某かあの娘に残せたらいいと思う。

 さて燃え尽きよう。昔読んだ漫画にあった通り真っ白な灰ならぬデータの粒になるために。それが役目だ。





「貴方は私達にとっても危険な存在。貴方の力も情報も他の誰かに渡していいものじゃない」

「知るか、俺は俺、誰のもんでもねぇ。力も知識も俺が手に入れたもんだ。使い方に文句は言わせない」


 マリンデビモンは不利な戦いを強いられながら尚武しい姿勢を崩さなかった。肘を顔の真横に持ってきて手首をぷらぷらとさせている。


「デジタルワールドの均衡を保つためには貴方をそちら側に居させてはいけないの。貴方の持っているものはデジタルハザードさえ起こしてしまいかねない代物なのよ。それを貴方は分かっているの?」


 威圧的な態度でマミーモン、デスメラモン、アシュラモンはマリンデビモンを取り囲んだ。マリンデビモンは正しく獣のように四肢を地面に付き唸りながら嬉しそうに笑っている。


「デジタルハザードの一つでも起これば嬉しい限りじゃないか。そっちは破壊を司る神デジドラモンが教主なんだ、寧ろ万々歳だろ。俺からしてみりゃここはそんなに救いたいほどの世界じゃない。俺の元いた場所でさえもな」


 アシュラモンの鋭い四本の腕による攻撃をそれを上回る数の触手で往なしながらも残り二人への警戒を怠らず、寧ろ多少余裕を持ちながら遊んでいるぐらいにも見えた。その証拠に後ろから襲い掛かったマミーモンの松葉杖をしっかりとしゃがんで避けた。見た限りアシュラモンもデスメラモンもマミーモンほどの強さはなく、結局問題なのはマミーモン一人となるがそれでも油断は出来ない。とはいっても油断なんてものがある奴じゃないが。


「私達が真に抹殺したいものはアナログで構成された全てよ、決してこの世界を破壊したいわけじゃないわ。それでもう一度元の綺麗な世界を作り直すだけ。過去のデーモンやべリアルヴァンでもんのような愚かな理由で世界を統治しようとしている訳ではないわ」


 マリンデビモンがアシュラモンの横っ面を叩き同時に腰を回転させ後方のデスメラモンを蹴り飛ばした。そのタイミングでマミーモンがマリンデビモンを蹴り上げた。マリンデビモンは触手でガードを固め攻撃を受け止めて空中で反転し着地した。しなる腕で近づいてきたマミーモンを威嚇する。

逆からはデスメラモンの熱く燃える鎖がマリンデビモンに襲い掛かってきた。半歩下がって肩で鎖を受けた。ノーダメージでクリアすることは無理だが、この場合では一番良いダメージの受け方だ。鞭などの類は攻撃を受ける面が多いほどダメージは大きい。これなら最小限のダメージで鎖が捩れさせることができ、それにより追撃に多少の時間が掛かりその間に回避することが出来る。


「何十万何百万の兵がいながら百分の一にも満たないQDCの連中を持て余してる奴らが俺のこの力を使いこなせるかね。身体がイカれてく感覚を味わいたいのなら別だけどな。病み付きになるぜ」

「貴方のような使い方はまともな人間ならしないわ。貴方は麻薬中毒者か何か?愚か過ぎる発言をしないで頂戴」


 デスメラモンは岩を粉々に砕いて吹き飛ばすほど強烈なパンチを繰り出した。腕や触手は残り二体に掛かりきりでほぼ抵抗なく腹筋にそれは突き刺さりマリンデビモンはくぐもった悲鳴をあげ体をくの字に折り曲げた。顎先にマミーモンの蹴りが入った。


「お前の使ってたパソコン、勝手に見させてもらった。QDCの登録にない通信相手、本来のデータバンクとは別に纏めてファイル化されてたQDCの内部状況。それに、本当の自分でも知りたかったのか?お前自身の名前を検索した履歴があった。いつぞやにあった一家神隠しの事件…その家族の苗字が宇田川だったとはな。

色々考えてたところもあったからピンと来た。知られたくない情報の入ったパソコンなら電源はしっかり切っておけ。それともわざと俺に見せたってのか?」


「別に構わないわ。貴方ならどうせ直に気付くでしょうことは分かってたから。その分だと私が人間(デジタル)だということも知っているんでしょう?」


 マリンデビモンは含み笑いをして嘔吐物を吐き出した。嘔吐物はとてつもなく黒い色に染まっていた、嘔吐物を受け止めたマリンデビモンの手はダゴモンを倒したときのような闇の色に変わった。


「そういう存在があることは分かっていた。人間をアナログなんて表現するのは不自然だし、大体ゲンナイのおっさんはデジモンでもプログラムでもないんだから何者だってなことになっちまう。お前がそうだと確信したのは三つの理由から。

一つは無論お前のパソコンのデータから。多分デジタルは元となる人間が必要、のはずだ。それのプログラムを初期化してデータに換算して打ち込む。まんま人間を作る技術なんてもんがあったら厄介にも程があるしな。…アナログワールドの人間を自分の懐に誘いこんでデータに変えちまう。デジタルってのはそういうカラクリか。

それと、二つ目は暗黒進化の反動を受けていないこと。俺の体は…どうだか分かってんだろ。最後は、複数のデジモンがお前に従っていること。早い話能無しの人間には出来ねってことだ」


 矢継ぎ早に攻撃を繰り出した。マリンデビモンの爪に触れた木は一瞬にして腐り倒れた。攻撃がアシュラモンの腕の一つを捉えた。たちまち腕が落ちた。鮮血が飛び出す。


「いずれ私達が人間となって貴方達が異物となる日が来るわ。でも貴方はこちら側にこられる力を持っている。これは貴方にとってはチャンスよ。世界を作り変えることが出来る。いつか貴方は言ってたわね、一番の理想は自分じゃなくて世界の方が変わる事だって」


 息つく間もなく出された手を払い除け胸を、心臓を貫いた。悲鳴すら上がらずにアシュラモンは崩れて消えた。デスメラモンの放った豪火球がマリンデビモンの触手を焼いた。


「従うならもっと凄いやつでねぇと無理だな。それより俺はデジドラモンをぶちのめして葉月を平穏の日々に還してやることが目的だ。だから手前ぇの誘いは受けねぇ。浮気する阿呆にゃならねぇ」

「貴方はそうやって次々に敵を作っていくのね。いいわ、後悔するから。さよならよ、貴方の死ぬ瞬間は見たくないから私はもう帰るわ」


 松葉杖から放たれた光線がマリンデビモンを捉えた。体の半分が虚空に消えデータが飛び散り、元のゴマの姿に戻った。

 結花はデヴァイスを構えた。空間にゆがみが生じて小さな扉が生まれた。結花は背を抜けてその扉に消えていった。俺はそれをずっと睨みつけていた。


 笑えるね、最高に。


 最高の状況だ。辺りは火の海で身を隠せそうな木は全て焼き払われて退路は骨の髄まで焼き尽くしそうな青い炎で包まれてやがる。ゴマは腕の中で呑気に気絶ときてるし、その抱える腕も痺れでなんだか感覚がよく分からなくなってやがる。治まるまでにはあと数時間掛かるだろうな。

 戦う武器はほぼない。あっても通用しない。だが無論死ぬ気もさらさらない。なんとかならないでもないことはあるが、それはそれで相当危険なことで、ゴマをマリンデビモンにするより性質が悪く、言ってみればマフィアにでも殴りかかるぐらいのこと。つまり命がけどころか回りの奴らにすら迷惑が掛かるぐらいのもんだ。

 マミーモンの腕が俺目掛けて振り下ろされた。転がって避ける。頭を照りつける炎の熱が熱すぎる。逃げの手がないなら攻めるまで。俺はマミーモンの足元に走った。これでも運動神経と動体視力には自信がある方だ。それがどれぐらいかってぇと六対一の喧嘩で三人までは楽にぶちのめせる位と、バッティングセンターの百二十キロを避けられるぐらいのもんだ。

 足元への攻撃は当然蹴りになるのが普通。予想通りマミーモンの蹴りを寸でのところで交わし蹴りの軸足になった方から横へ抜ける。いっそ蹴られてしまった方が早く事が済むんだが、生憎デジタルワールドも元の世界もリセットボタンなんて便利な機能はなく、死んだらそこで終わりだから下手すりゃオープニング画面からやり直しってなことになり兼ねねぇ。しかもゲームスタート時の姿形が全く別の人間になってたりもしやがる。なんてな。

 マミーモンの軸足が浮いた。なるほどにゃろうは戦闘において臨機応変に対応する能力が長けてるらしい。マミーモンの足の裏が俺の頭上に迫った。飛んで踏み潰すつもりかこの野郎が。まぁいい、楽に抜けられるとは思ってねぇ。来いや。

 横に思いっきり飛んだ。ゴマモンを投げ捨て、ポケットから獅子王丸を取り出して解凍ツールを起動した。後は運のやつが何とかしてくれるだろ。これでも悪運は人一倍強い。此処を抜ければいくらかチャンスが生まれる。ここまで暴れてりゃいくらQDCの無能共でも派遣されてくんだろ。それまで適当なところに身を潜めてれば遣り過ごすことは可能なはずだ。

 それでもぐしゃっという音がして足に圧力を感じた。叫び声は情けねぇからあげない。だが骨が取り敢えずかなり細かく逝ったらしい感触がある。畜生めが、こっちの技術だって結構な時間がかかるぞ。


「これで動けないよなボーイ。余計なレジストはナッシングで早くこいつをマリンデビモンにしな。ボーイの腕ならそれがポッシブルだろぅ?」


 マミーモンは俺の脚の上から足をどかし、ゴマを摘み上げた。何もかも調べてやがるってか、確かにその通りだよ。俺は苦虫を噛み潰したみたいな表情を浮かべた。何てこと言いやがる。


「簡単に言いやがってよこの糞野郎がっ!っ痛ぅ…」


 興奮状態や生命の危機があるときなんかには痛みを感じないというらしいが、今俺の脚は滅茶苦茶痛ぇぞ。くそ、なんかいろんな分泌液でて痛み止れ。


「威勢はいいなボーイ。アナザーパーツもクラッシュしてみるかい?」


 暗黒進化の定義はダークエリアの力を得て無条件にパートナーを完全体以上に進化させること。重要なのはテイマーがその力を使えるかどうかってだけでパートナーの能力、認知、自我なんてのは全て無視される。やろうと思えば今すぐにでもゴマを進化させることが出来る。だが、一度戦ってやられてるあいつをもう一度戦わすなんてことしていいなんて流石の俺でも思わねぇ。

そのぐらいの分別は弁(わきま)えてる。


「マミーモン、既に三対一で一人やられているのだぞ。抵抗しないうちに殺すのが筋というものだろう」

「チキンはビークワイエットだぜ。エンジョイできないバトルはしない主義なんだよオレっちは」


 なんだか二匹が揉め事を始めたらしい。いいぞ、そのままでいてくれ、少なくとも俺が逃げる間は。


「俺はお前の監視も仰せつかっている。そんなことを許すわけが―――――」


 俺は頭を抱えた。何処まで自信があるんだあの包帯野郎は。まさか抗議しただけで、邪魔だからってだけでんなことしやがんのかよ。そして俺はこんなイカレ野郎に付き合わなきゃいけないのか。

 マミーモンの腕はデスメラモンを貫いていた。腕に巻かれた包帯がちりちりと焼けるのも構わず腕を抜き、再度突き刺し、もう一度腕を抜き、というのを三度ほど繰り返した。驚愕の表情のまま何をする暇も無くデスメラモンは消滅した。


「弱くて話になんないね。実質一対一も同じだったってことに気がついてなかったのかよ。全くクレイジーだね。お前もそう思うだろボーイ?」


 全くこの世界には俺の常識を色々と覆してくれる。ここまでイカれてる奴を見たのは初めてだ。くそ女(あま)が、厄介な生き物を残していきやがって。また暗黒進化に頼るしかないのか。生き残るにはそれっきゃねぇのか。どこまでゴマを苦しめればまともなテイマーとして戦えるんだ。ゴマはあれに進化する度に体も心も苦しめられる。納得済みのことだとしてもそういう目に合わしてるのが腹立つ。情けねぇ。全く情けねぇよ。この程度か俺は。

 胸クソ悪い気分を抱えながら腰のデヴァイスに手を掛けたその時だった。頭の上を黒い影が覆った。影はマミーモンに飛び掛り、マミーモンは俺たちに集中してたためにそれを避けられなかった。影は続けて三股の矛でマミーモンの腕を地面に貼り付けると、電光石火で俺達を触手で摘み上げてその場を脱出した。なんなんだいったい。

 突然のことにあっけにとられはしたが、影の正体がダゴモンだといいうことには直気が付いた。俺達がつい先ほど倒した筈の奴だ。別人、基別デジと表現すべきなのか知らんが、多分人間扱いしても問題はねぇだろうから別人と言っとこうとか思いつつそいつは別人じゃねぇ。その証拠に左腕ってか左側の腕に当たる大量の触手が全て千切れ途中から先がなくなっていた。俺とマリンデビモンがやったことだ。

 何故急にこいつは現れた。まさか助けるなんてことをしに来た訳じゃねぇだろ。なにしろこいつは宇田川の配下なんだからよ。だが、それならマミーモンに攻撃を加えたのは何故だ。訳が分からない。と色々思考を巡らせている間にダゴモンは走るのを止めた。湖を越えあっという間にミハラシ台辺りにまで来ていた。ダゴモンは直に俺等を解放した。左足に激しい痛みが襲い掛かる。


「おい、何が目的だ。何故俺達を助けるようなまねをした」

「…目的?そうだな、結花のためと言っておこう」


 ダゴモンは直に答えを返した。ダゴモンが喋ったのを俺は聞いたことがなかったからそれは意外なことだった。何も言わないだろうと思って言ったことだから割かし驚いた。っつーかこいつ声低いな。


「結花?…宇田川の為?何言ってんだよ。それなら俺を殺すのが普通だろ。助けてどうする」

「彼女を助けてくれ。紫苑君よ。あの子を助けられるのは君しかいないと私は思うのだ」

「いや、あいつを助けるどうこうじゃなくてどうして俺を助けたのか聞いてんだよ」


 率直な疑問を尋ねた。だがダゴモンは俺の話を聞くつもりもない感じで進めた。一体何なんだ、助けられたことには感謝すべきだが何が狙いなのかはっきりしろよ。


「もともとはあんな子じゃあ無かったのだ。あの子は此方の世界に来て変わってしまった」

「いや話聞けよ。何の話してやがんだよ。ってか変わった、って言うっつーことはアイツの現実世界でのことをお前は知ってんのか?」


 相変わらず質問無視だが意外な話に言葉を返した。やっぱしダゴモンは話を止めずに進めた。こういった奴は何を言っても無理やり話を進めるってことは知ってからもう無理に言い返そうとはせずに聞く体勢にはいった。っても性格上口は挟むが。


「元々は優しく生き物を愛する、そんな子供だった。しかし凶悪なプログラムは彼女を変えてしまった。本来なら私がそれを取り戻すべきなのだが、私には力とその術と時間が無かった。だから君に頼みたい。彼女を救ってくれ」

「何が言いたいか分かり易く言え」

「私は私の体を制御できなかった。結花もまたそうなのだ。頼んだ、私はもう贖罪に行かねばならない」

「ちょ、待て!消えんな。分かり易く説明しろっての!」


 ダゴモンは勝手に話を進めて勝手に身体をデータの粒子へと分解していった。待ってくれ、お前は何を言いたいんだ。


「闇の力に頼らずとも君は強い。その力で私の成し得なかったことを、結花を…」


 最後まで言い切らずにダゴモンは消えていった。ダゴモンは自分を殺した当の本人に一体何を言ったかったってんだ。だが、最後にこの世の最期に何を言い残したかったのかは分かった。そしてそれで粗方の事を理解した。

 じきにQDCの面々が現れるだろう。マミーモンを追っ払うだけの戦力は流石にあいつ等にもあるだろうから、残りのことは全て任せることにしとこう。そしてまず葉月を保護させよう。なんかあいつの淹れたココアが無性に飲みたい。あいつはココアの入れ方を知ってるから。

 俺は明け始めた空を見つめて、ダゴモンの最後の言葉を反芻した。同情は出来ないが恩義だけは感じておこう。俺に、俺なんかに何が出来るかは知らんが、やるべき事はやらにゃならん。


『闇の力に頼らずとも君は強い。その力で私の成し得なかったことを、結花を、娘を救ってくれ』


 了解しといてやる。じゃあな、運命とかそういう下らない言葉に弄ばれた奴よ。








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 凄惨な光景ってのは当にこれの事を言うんじゃねぇだろうか。大地は陥没と隆起をところどころに起こし木々はなぎ倒されデジモン達は肉体のデータを多く四散させられていて、それでも死ねずに苦痛にもがいていた。暇があれば止め…刺せて遣れたのにな。残念ながら今は他の色々な問題で手一杯だ。といっても俺の手は二本しかないがな。

 先ずビートランドに向かって正解だったと思った。あからさまに別方向に付けられた大地の傷跡は囮だろうってことは分かっていた。何かの技を出した光は認識してたし、それにこっちのルートに残してある後は真っ直ぐに技を撃っただけじゃ残らない大地の傷つき方がなされていた。それにもっと言えばこの島を征服するなら先ず叩くべきはQDCの拠点。宇田川ならその定石を打つのは間違いないだろうと予測できた。

だから結構迷うことなく奴らに近づくことが出来た。だが悲しいかなダゴモンとの戦闘で時間が掛かったお陰で奴らのこれまでの行為を阻止するどころか、今は影を踏むことすら出来ていない状態だ。QDCん腰抜け共が少しでもあいつらを引き付けていてくれりゃいい。島の奴らが死ぬよかふんぞり返った犬共がやられた方が胸が透く。でも不思議と死なないで欲しいとも思った。多分無理な話だろうとは思ってっけど。

 全体の被害に比べデジモンのデータの抜け殻が転がっている数がそれほど多くなかった。それは危険を察知した奴らが早々に逃げ出したか、それとも勇敢か無謀かその後足元の百円玉を拾うがごとく気軽に消滅されることになる奴らが単品若しくはたった数人で立ち向かったか、前者であることを願いたい。相手の力も見抜けない間抜けなQDCの面々の為にも、おろかな女王の為にも。

 漸くたどり着いたビートランドも酷い有様だった。元在った建造物はすっかり跡地となり、正規のルート以外のものを阻むバリアも消滅していてすんなり他から入ることが出来た。何より恐ろしいのは死体含め負傷者が誰一人転がっていないことだ。死んだのが他が逃げ切るまでに殿(しんがり)になった数人であってくれればまだましだが。

 倒れた木々の間から木の葉の揺れる音がした。反射的に俺はマリンデビモンから飛び降り、マリンデビモンは木を爪で粉々に砕き吹き飛ばした。


「っ!お前、紫苑、か。…そのパートナー…お前も寝返った側の人間か!」


 木々の間から現れたのは見知らぬ、恐らくはQDCの一員だと思われる奴だった。傍らにはパートナーデジモンらしき傷だらけのブルーメラモンが構えていた。


「寝返る…か、笑わせんな。お前らが仲間らしいことを俺等にしてたんならその言葉は受け取れるが、なめくさんな。そこで死んでないだけ有り難いと思って俺の質問に答えてから別の大陸にでも失せろ。宇田川は何処だ」

「元、支部長か?その代理って奴ならこの惨劇を残していったけどね。逃れられたのが二桁に差し掛かれば良い方だな。あの化け物みたいな奴に、此処を任されてる者達が適うはずがない。デジモンも…人間もどうなったか予想はつくだろ。その上でお前は何をしに来た!」

「待て、俺の方に近づくな。拾った命をわざわざ無駄に…」

「五月蝿いこの死神野郎がッ!」


 ずしんと衝撃が来たように俺の身体は腹から震えた。死神野郎。その言葉は酷くいやなことを思い出させた。呼吸が止まったように思ったが、生憎殺す側の死神は少しも死ぬ気は無かったらしくはっと意識を取り戻したときには変形したそいつの顔と血だらけの俺の手が見えた。俺の手は仰向けに倒れていたそいつの首に引っ掛かっていた。殺したかもしれない。そういう恐怖はいつも気が付いて後になってから襲ってきた。

そうなるときはいつでも殺したいと思っていた記憶はない。でもそれはゴマの奴に非常に悪いことだと俺は思っている。ゴマにはもう何百と命を奪うことをさせてきた。血はゴマにそうさせるときと同じように沸騰した感じがしていた。


「義博に何を!」


 それだけあっという間だったんだろうか、漸く状況に意識が追いついたブルーメラモンが俺を止めようと飛び掛ってきた。だが、俺に危害を加えようとするとスイッチが入る。俺がいなくなると自分が自分を保てなくなると分かっている奴がいつも通りの力を駆使してそいつらを駆除する。こうやって何人のテイマーが向かって行ったんだろうか。

パートナーを守るため、秩序を守るための勇猛果敢な行動だとは思う。だがこの場合は無駄以外のなんでもない。本能のまま行動するマリンデビモンがブルーメラモンを爪で叩き潰した。 

 既に大分ダメージを受けていたことも圧倒的な攻撃力の差も重なった。ブルーメラモンは地面に叩きつけられバウンドし次に地面に落ちるまでの間になゆたに散らばる星の如く粒子となって消えてしまった。だから近寄るなって言ったんだ。くそが。もはやゴマは今別の生き物だ。元の姿に戻ることを拒む別の獣だ。


「…ッあ……な」


 凍り付いた両親が痛まない代わりに右腕が苦痛を訴えた。右腕で左腕を締め付け背中を向けてその場を去ろうとした。もはや掛けられる言葉などはない。これ以上話を聞くことも無理だろうと。


「邪魔だぜベィベ」


 ぞっとする殺気を背中に感じた。強烈な風と恐らくは液体の状態で俺の左手を染めている物が背中のシャツを濡らしただろう。風に煽られて嗅ぎなれたその匂いも感じた。俺は前に思いっきり走った。背中で何か強烈な物音がしたが、戦闘中には良くある物音だろうと思って気にしなかった。そこそこの距離を離れて俺は振り向いた。にたにたとした目茶目茶歪ましてやりてぇ笑い顔を見た。


「スメル・スメル・ベリィィスメル!予感がしたぜボーイ。どこも行かずに逃げる奴ら相手に暇つぶししてた甲斐あったぁ!オゥイェス、楽しいバトルの始まりだ。シャル・ウィ・バトル!?」


 マリンデビモンは突如襲ってきたマミーモンに一撃加えられ伏していたが、そのままマミーモンの足を掴んで投げながら起き上がった。マミーモンは投げられてなお体勢を崩さず綺麗に着地しおちゃらけてみせた。マリンデビモンはマミーモンの台詞を聞く気はないらしく、喋っている最中のマミーモンに爪を突き出したが、マミーモンはそれを軽く往なして最後まで喋りきった。

 目標のマミーモンは現れたが肝心の宇田川が何処にも居なかった。そういえばさっきの奴はアイツが此処には来ていなかったみたいな口振りをしていた。他のところにいて見逃していたって事も在り得るが生き残ってたことから考えてもまだQDCの奴らではましな方だ。

そんな奴が見逃すということもそうそうないだろう。しまった、あの道標はそれ自体が囮で別のところから宇田川のみが逃走を図るための罠だったか。まぁとは言ってもこいつを倒さなきゃならないことに変わりはねぇし、今の状況にはあまり関係ないか。

 しかしマミーモンが本当の、というよりは新しいパートナーでないなら宇田川のパートナーの実態はどうなってんだろ。どんな風貌でどんな能力を持っててもぶっ倒す以外に道はないが少なからずそれに興味はある。強いなら、当然強いだろうが俺はもっと強くならにゃならん。しかしそれにしても同時に何匹ものデジモンを従え、暗黒進化を使いこなす。

デジドラモンの恩恵を受けていたとしても通常なら在り得ない筈。これは例の『読んではいけない文献』で読んだあれにも思える。そしてあの時目にしたあれも。恐らくなんてもんじゃなく俺には確信がある。出てきたら少しカマかけてみるか。

 イカレのマミーモンは横から襲い掛かった爪をしゃがんで交わし足払いをした。倒れた顔面を狙って蹴りを繰り出し続けて受身を取るまもなく宙に浮いた身体をさらに蹴り上げた。マリンデビモンは地面に爪を突き刺し浮き上がる体を停止させ、間も無く振り下ろされた拳を触手で絡めとりマミーモンを引き寄せようとしたがその腕はするりと抜けて逆にマリンデビモンは投げ飛ばされた。


「ワォッ!っとやるねクレイジーガイ。それでこそ戦い(やり)甲斐があるってもんだ」


 投げ飛ばされたマリンデビモンは地面に叩きつけられる瞬間に体を反らし二つの足で地面に着地した。直後に地面を蹴りマミーモンの懐に潜り込み投げ返した。しかしマミーモンは安易にその攻撃を受けることなく先ほどと同じようにするりと腕を抜いて離れたところへ着地した。間髪いれず触手による攻撃が入った。マミーモンはそれを解いた包帯でまとめて縛り上げた。


「もっとヘビーな技出してきな!」


 目の前で起こっている戦いは明らか過ぎるほどに俺の実力とはレベルが違い過ぎた。目で追うことも既にぎりぎりで、仮にゴマがそのままの姿でこれだけの力を持っていても俺には何もできることがない。ダゴモンとの戦いのときでさえそれを既に感じていたのにマミーモンとの戦いではそれ以上だ。明らかにダゴモンのときではあいつは手加減していた。

今は本気でその時の二倍といえるほど強い。しかしそれでもこの戦いマリンデビモンが六割で負ける。奴はとてつもなく強い。俺が戦えば恐らくはぐちゃぐちゃの肉塊となったさっきの奴みたいになる。今更もう怖くもないが虚しくは在る。

 マミーモンは触手を縛る包帯を絞り上げると手刀をそこに落とした。マリンデビモンの触手はすっぱりと切り落とされ腹部の表皮が裂け其処から黒みがかった血が迸った。

 マミーモンは優位に立ったにも拘らず直に後方へ飛んだ。理由は直後に分かった。マリンデビモンの黒い血液は地面に落ちた瞬間にその付近の植物を一瞬で腐敗させた。だがマミーモンは意外な反撃を避けるだけでなく次の攻撃に素早く移るためにも後退していた。脇に構えていた松葉杖の先をマリンデビモンのほうへ向けている。恐らくは光線形の技。それも適度に下がらないと危険なほど強力な。

 マミーモンが暗い紫色の光線を放つと同時に口から黒い液体を吐き出した。今度は血じゃねぇ、純粋な毒。その液体が光線にぶつかって拡散している間に照準から逃れた。その位置はマミーモンの視線よりやや上にあたる。長い腕を可能な限り伸ばして反動を付けマミーモンに叩き付けた。マミーモンはそれを松葉杖で受け止め解いた包帯をマリンデビモンに絡み付けた。

 マリンデビモンは直に体勢を入れ替え足をマミーモンの肩に掛け跳び空中から先ほどの毒を吐き出した。マミーモンはマリンデビモンの足掛かりとされ蹌踉めいていたため回避行動がとれず、絡み付けていた包帯を引き戻し手の甲に集め盾のようにしてそれを防いだ。

毒で腐食している部分の包帯を千切り落下してくるマリンデビモンにカウンターを喰らわせてやろうと構えたマミーモンだったが一瞬包帯で視界を遮られた隙を突かれマリンデビモンの強烈な蹴りを浴びた。更に体を捻って追撃の裏拳をかます。この戦いで初めてマミーモンの顔が苦痛に歪んだ。


「いいねぇグッジョブだ。おれっちもやる気でてきたよクレイジーガイ」

「クレイジー野郎がっ。宇田川を引っ張り出すまではそいつはやられねぇぞ」

「クイーンならアナザーワークだぜ。なんだボーイ惚れちまったか?ラヴ・トゥーハーかい?」


 戦いが一時インターバルを迎えたのを見て俺はマミーモンに問いかけた。揚々としてにたにたと笑いながらマミーモンは構えを作り直した。異常に右拳を前に突き出す構えが本来のスタイルか。元はジークンドーらしい感じだ。まずい、より強くなったみたいな雰囲気がしてやがる。前に出していない方の手には松葉杖。直接攻めるのもカウンターもいけそうな形だ。人間で出来るなら結構理想系。デジモンの腕力だからできるわけだが。


「心配しなくてもおれっちの役目は足止めだぜボーイ。この意味分かるかな?ドゥユゥアンダスタンド?」


 俺は意識しないまま額のゴーグルに手を掛けた。マミーモンの言葉がよく分からなかった。足止めってのは何のことだ。宇田川の目的は先ず此処の征服。俺を足止めするってんならもうダゴモンのところでそれは済んでるはずだ。事実俺はQDCの生きた顔を一人しか見ていないし、そいつもさっき消された。

 何度もその言葉を反芻した。分かるかと言われてんだからなんかしら分かりそうなヒントを与えてるはず、あいつにその脳みそがあるなら。言葉一つ一つが何を意味するか考えた。マミーモンは尚もマリンデビモンと楽しそうに戦い続けてやがる。

 戦う?ちょっと待て。マミーモンの話してる感じからするとあいつはマリンデビモンと戦うために俺を待ち伏せていたことになる。あいつの性格上雑魚殲滅よりそのほうが楽しいとか思ってんだろうと勝手に俺は解釈していた。だが足止めって意味もどうやら含まれてるってなるとどうなんだ。

 宇田川は俺がこの力を持っていることを知らなかったはず。だからダゴモンを倒すことなんか出来ないと吐き捨てていきやがったんだ。そこで俺は消されている予定だったはず。事実この力がなけりゃその通りだった。

 それを踏まえたうえでまだ俺を待ち伏せするってのはおかしい。なら知っていたと考えるのが妥当。ということはダゴモンは俺の思考を鈍らせるための罠で、こっちが本当の最終局面。俺を殺すために仕掛けた罠でないとするなら残ることは一つしかない。俺の持っている知識を得ること。

 はっと気付いて腰のデヴァイスに手を伸ばした。手の動きが鈍くて一旦落としそうになったがその前にしっかり握りなおして画面を覗いた。

 機能の搭載量が半端ではないと紳には聞かされていた。当然周辺のデジモンを探索するぐらいの機能は楽に付いている。画面には新たにいくつかのデジモン反応が現れている。ハッハ!笑わせてくれる。罠か。そんな手の込んだことされなくても葉月を餌にすりゃ多対一の場面でものこのこ出て行ってやったよ。当然ぶち切れもしたがな。

 新たに現れたデジモンの影は二つだった。一つは鉄仮面を付け鎖を体に巻きつけたデスメラモン。もう一つは三つの顔四本の腕を持つアシュラモンだった。

 宇田川は其処にいた。アシュラモンの肩の上に。俺はそれを卑怯だなんては言わないし思いもしない。逆の立場なら当然そうするし、言わせてもらえばまだ詰めが甘いくらいだ。指先が砂糖菓子にでもなるくらいにな。こっちの世界で正当なことなんてねぇと思ってる。在るのは強さだけ。


「俺一人に随分と豪華なキャストだな。採算合うんかい?欲しいものはなんだ。命か情報か力か、それとも全部か?」


 冗談でも言ってなきゃやってられねぇよ。手駒があればまだましだったがもはやこりゃ詰み寸前だ。右腕痛って。筋肉痛っぺぇ痛みも殴られた後の痛みもわりと嫌いじゃないがな。







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「濁った水」

ヘイ、ドニー。夢の中で狼にあったら気をつけな
奴の牙はいつでも右手を噛み砕いてしまう
出会うのはいつも雨の降る夜の街の中で
一本だけの街灯の下でコートを着てる、ダジャレって訳だ

濁った水溜りを蹴って逃げ出す
僕は身体の上手く動かない夢の中

ヘイ、ドニー。プールの中に鮫がいる時も気をつけな
奴らは平然と水の流れを無視してくる
我先にと、プールから出てゆく人が僕を蹴り飛ばすんだ
だから僕はプールサイドに上がる前に足をヤられる

濁った水溜りを蹴って逃げ出す
僕は身体の上手く動かない夢の中


濁った水溜りを蹴って逃げ出す
僕は身体の上手く動かない夢の中

ヘイ、ドニー。夢の中で一度お前に会ってみたい
ドニー、ドニー、ドニー。未だにお前の顔を見たことがない
怖い夢を見た時は必ずお前の声が聞こえる気がする
だからドニー、おいでドニー。僕の手を、足をご馳走するよ。

濁った水溜りを蹴って逃げ出す
僕は身体の上手く動かない夢の中



⇒ 続きを読む


たまに漫画を全巻一気読みしたくなる時がある。今回は偶然カレカノを選んだ訳で、そしたらアニメも見たくなっちゃったので全話見ましたとも。なんか久々に見たら演出方法やらがたまにメダロットみたいだったのでなんか熱かったね。今石にいやんもいたしな。

しかし庵野作品はなかなか好きだ。激メーションも久米田んが言う程は嫌いでないしな。生過ぎる表現とかも良し。関連でエヴァもトップを狙えやらナディアやら見たくなってしまったじゃないか。までも今エヴァを復活させて完結ってのはどうなるんだろうねぇ。90年代の作品の雰囲気って結構好き。今の時代からすると色が薄くこすれたイメージがあるんだけどそこがまた色が綺麗なはっきりした今のアニメと違った印象があるからなぁ。エヴァも当時と同じ感じで作ってくれると嬉しいがやっぱり今の塗りになるんだろうかね。

結構少女マンガは好き。有名どころとかを抑えてるわけじゃねぇんだけど地味にあちこち好きさ。津田さんやら安野さん(あ、庵野妻だ)とか新条さんとか他は残念ながら作者を覚えていない。まぁでも少女マンガでドロっとしてるとか言ったら内田春菊は見られない場合があるが。

まぁ今更感想を改めて書く気はないが取り敢えずこれも揃えときたいねぇとか思ったよ。そうしてどんどん深いところへいってしまうんだろうなぁwww


この日ところどころに騙しに言ったまいむちゃんです。騙された方はご苦労さまでした。でもヒント載せといたから検索したりみんなに連絡したりして恥をかいたりって事はないでしょうと予測しとく。後でうわっ恥ずかしいとか思わない程度には優しい嘘で通しました。

しかし素直に騙されてくれる人は可愛いので良し。(あぁっていうかその前に騙されそうな人を狙って色々書き込みした訳ですがw)そういうストレートな感情を持ってる事って大事さ。

毎年大体騙したり騙されたりする事がないので久々にエイプリル忍者タートルズだとか言う行事がある事を思い出したよ(行事ではねぇな。そして今の人が記憶してるかどうか怪しいネタをwww)

っていう訳でまいむちゃんは嘘を吐きすぎて狼に食べられてしまいました。

ヒント:今日の日付。

…いや、さすがにこれに騙されたら単純に御馬鹿さんだけど。ないない。
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プロフィール

まいむ@ムーン

Author:まいむ@ムーン
現在21歳雄。偏屈で批判家のジョーカー。
性格、マメで粗雑。短気で気長。本人すら把握できず。身長、服屋のついたて鏡に入らない程度。体重、焼肉で米を大盛り2杯と普通一杯程度。
実写よりアニメ、特撮を見る。バラエティは情報系の方が好き。朝Φ新聞が嫌い。エノラゲイが嫌い。
音楽家、作詩家、小説家。いずれも毒々しい部分を持つ。最近の口癖は「ってな訳」「いやいや」「成る程」「1ミリもないわ」「鬱陶しい」
格好良くて優しい人を期待する方にはオススメできない商品。
宣伝鬱陶しい。

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